決着

クラス対抗全員リレーの前に昼食を挟む

私はいつものようにテニス部のみんなと撫子ちゃんとで食べる



「譲れないもの守り切ったね」

そう言って優しく幸村くんが微笑む


『棒を取るのに必死で般若みたいな顔になってなかったかな...』

「なっとったかもな」

「仁王!桜宮のことからかうのやめろい!」


隣に座っている丸井くんが箸を置いた



「そういやブン太の演説凄かったな」

「丸井くんってばやるわね!」



すると丸井くんはあの時の言葉を思い出したのか顔を真っ赤にした

「あれは...ちゃんとお題に沿ってるってことを証明したくてだな!」


「効果は抜群のようだったけどね。俺のクラスの男子たちも桜宮さんのこと気になり出してるようだし」

「マジかよぃ」


やっぱり丸井くんの存在感はすごいな
即興で大勢の人を頷かせることができるんだ


私もそんな風になりたい


「そういえば俺、早乙女に呼ばれてんだったわ」

「そうなんだ」



蕣ちゃんに...?


昼食をあっという間に平らげてしまった丸井くんはそのまま行ってしまった


「追いかけなくていいのかい?」

『うん...きっと何か大切な話なんだよ』



2人きりで話したいだろうし

私が行ったところで何も変わらない



「そっか、優しいね桜宮さん」

ううん幸村くんの方が優しいと私は思うの
その温かい笑顔が本当に素敵だな


『私も幸村くんみたいに優しく笑えるようになりたいな』
































お昼休みの時間


私は丸井を呼び出していた




待ち合わせ場所にはすでに丸井が来ていた


「おーい丸井〜!」

私が駆け寄ると片手をヒョイっと上げた



「丸井大活躍だったね〜!」

「まあな、体育祭は俺のためにあるようなモンだぜ」


ずっと見てた

丸井が誰を見つめ追いかけていたのか



「ねえ丸井...」

「何だ?」



ここで言わないと一生後悔する




特別な誰かができてしまう前に...!


























「私ね、丸井のことが好きなの」




















「___________そっか。サンキューな」








丸井はただそう言った



「俺、どうしても放って置けないヤツがいるんだ」


きっとそれはまいちゃんのことだろう


「知ってるよ」


え!?なんて驚く丸井

もしかして気付いてなかったの?


「だって目で追いすぎなんだもん!誰でも気づくわよ」

「そんなつもりはなかったんだけどな...」


男の目って本当に素直だ

一度見つけた獲物は手に入れるまで追い続ける



「ねえ丸井...!」


振られたけど、これだけは聞きたい




「私が丸井のこと好きだって聞いて嬉しかった?」













「おう!」


それにしても丸井は女見る目ないわね〜

何であんな子を好きになるの、なんて思ってたんだけど




丸井に振られて廊下を1人歩いているとまいちゃんと丸井が並んで歩いていた






「次のクラス対抗全員リレー頑張ろうな!」

『うん...!』






初めて見るあんな女の子らしいまいちゃんの笑顔


そして丸井の嬉しそうな眩しいくらいの笑顔




丸井にそんな顔をさせるまいちゃんが羨ましい

けどそれはまいちゃんにしかできなくて


きっとまいちゃんの心からの笑顔を引き出すのも丸井にしかできないんだろう




お互いがお互いを引き立て合ってるんだ...


「そりゃ勝ち目なんてないよ」

一人でそう呟く






けど諦めたわけじゃない


私たちはライバルだから




[ 23/38 ]

[*prev] [next#]

[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -