中に入り、ソファーに座ったはいいもののなんて話せばいいのやら。


「そーいえばアンタ、新八のこと知ってるようだったけどどーいう関係?」

『主人と下僕』

「えええええ!?」

「やっぱりね…ホラ、新八ってMだから」

「違いますよシロさん!ちょ、初対面なのに失礼だろアンタァァァ!!」


叫ぶ新八をうっせぇと殴る神楽。いつもの光景に見えるのは気のせいじゃないだろう。


『まあ冗談は置いといて』

「冗談!?冗談なのに僕殴られたの!?」

『それはアンタがうっさいからでしょ、ダメガネ』


初対面なのにダメガネ呼ばわりかよ!という新八のツッコミはこの際無視しよう。


「あたしは万事屋の店主、坂田茉銀」

『銀時、じゃないんだ…』

「え?」

『ああいや、なんでもない。あたしは名字名前。真選組やってるん…だけど…』


万事屋三人+一匹からはあ?と言われた。いや定晴に言われたかどうかはわからないけど。


「真選組?真選組ってあの真選組?チンピラ警察24時とか言われてるあの真選組?」

『う、うん…』

「あそこは男所帯よ?不本意だけどそれなりに関わりあるあたしだって名前を見たことがない」


て、ことは…。


『いやいやこれはないだろ。さすがにこれは…』


たどり着いた答えを振り払うように頭を横に振る。


「どーしたのよ、何かわかったの?何でもいいから話してごらんなさいな」

『じゃあ…遠慮なく言うよ?』

「うん」


『あたし…異世界とかいうやつから来た…のかも』


「「「はあ?」」」


お前何言ってんのバカじゃね、みたいな目で見られた。


『いやね、あたしも考えたくないよそんなこと。でもだってそれしか考えられないんだよあたしだってそれなりに通ってる名なのに知られてないし万事屋にだってこんな美人さんいなかったし新八も神楽もあたしのこと知らないし真選組の土方クソヤローには門前払いくらうしなんなんだよ土方コノヤロー』

「ってことはアンタホントに異世界から…?」

『……考えたくないけどね』


そっか、と茉銀は呟くと、それじゃあ万事屋に任せなさい!と言ったので甘えることにした。






『それでその時のヅラの反応がさぁ…』

「あー、アレね。ヅラってほんとバカよね」


「神楽ちゃん」

「何アルか、ダメガネ新八」

「やめてくんない、そのダメガネって。そうじゃなくてさ」

「だから何アルか」

「あの二人、桂さんの悪口しか言ってなくない?」

「いいんだヨ、それがシロちゃんと名前アル」


ケラケラと笑うあたし達。ふいに、周りがピカーって光った。
……ん?これってこっちの世界にきた時と同じ光なんじゃ…?


『茉銀ォォォ!!これだよ!この光だよ!』

「はああ?じゃあ何、アンタもう帰んの!?」

『っぽいねー』


自分の身体が透けていくのがわかる。
ホラ神楽、そんな泣きそうな顔すんなよ。


「私、あんましゃべってないアルゥゥ!!」


それで泣きそうなんかいィィィ!!あたしに会えなくなって悲しくなるとかそういうアレじゃないのね!


『えーっと…万事屋の三人と定晴!なんかもう帰るっぽいけど…』


また会えたらいいね。


そう言った言葉は、万事屋メンバーに聞こえただろうか。