急すぎます
『ふあーあ』
チュンチュンと鳴くスズメの声でああ 朝かと理解する。
『………ん?朝?』
チラリと目覚まし時計を見る。そして顔が真っ青になるのを感じた。
『っぎゃあああああああああ!!』
あらんかぎりの声を出し、ドタドタと階段をかけ降りる。
『ヤバいよヤバいよヤバいよマジで!!』
朝食?んなモン食べられるワケないでしょ!?時間がないんだ!ああ…このままじゃ遅刻するぅぅぅ…!!
『うう…ディーノのせいだ…ディーノが帰っちゃったから…』
つい先日までこの家にいたディーノは、仕事があるとかでイタリアに帰ってしまったのだ。まあこの家にいたのは二日間だけだったけど。でもその二日間起こしてくれていたのはディーノなワケで。そのディーノが帰ってしまったワケで。
つまるところ、一人じゃ起きられなかった。
『うああああああ…!』
もし。もし仮に校門に風紀委員がいたらどうしよう。あの集団に囲まれて「テメェ何遅刻してんだコラァ」みたいなこと言われたらどうしよう。咬み殺されたらどうしよう。
『行きたくない…でも行かなきゃ…』
でも…でも…!とうなっているあたしはなぜか支度をしていた。これは行けということですか…!いやむしろ逝けかな。
まあとりあえず。
『行くしかねェんだろコンチクショー!!』
(遅刻だけは…遅刻だけは…!)
(咬み殺されたくない咬み殺されたくない咬み殺されたくない…)
(もっと速く動けあたしの足ィィィ!!)
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