日常編 | ナノ

 夕飯の買い出しで

ヒバリが風邪で入院してあたしがお見舞いに行ってから数日が経った。書類整理をしているあたしはふと今日の夕飯の食材がないことに気づいた。
幸いもうほとんど終わってるし、そろそろ帰ろうかとソファから腰をあげたらヒバリに声をかけられた。


「飲み物買ってくるんなら僕のもよろしく」


いや買わねぇし。


『違う違う。書類も終わったしそろそろ帰ろうかなって思っただけ。帰りにスーパーにも寄りたいし』

「スーパー?」

『夕飯の食材がないんだよ』

「そ。じゃあ明日は今日の倍働いてもらうからよろしく」

『なんで!?』



***



『えーっと、じゃがいも 玉ねぎ にんじん…』


夕飯の…カレーの材料で足りないものを買いにスーパーに来た。あと他に足りないものはないかな、と確認してレジに向かう。

支払いを終え、ありがとうございましたー、という店員のお決まりの言葉を背に店を出た。
そしてかけられた声。


「あら、風香ちゃん?」

『? あ、奈々さん』

声をかけてきたのはツナの母親である奈々さんだった。
いつ見てもかわいいな、奈々さんは。


「ママン、その人は誰?」

『(うっひゃ〜、すっごいグラマーなおねーさんだなー)』


奈々さんの隣にいた女性が訝しげにあたしを見る。え、なに。あたし不審者に見える!?


「風香ちゃんって言うのよ。ツッ君のお友達なの」

「ツナの…?そう、ならいいわ。私はビアンキ。よろしく、風香」

『え、あ、こちらこそよろしく…』


ツナの友達。その単語を聞いて、ビアンキさんは出していたかすかな殺気をしまった。
……超恐ぇよこの人!会って速攻殺気出す奴があるか!?しかも初対面!!…もしかしてこの人もマフィア関係者だったりすんの?


「僕はフウ太。よろしく、風香姉」

『よ、よろしく…』


なんか流れでよろしくしちゃったけどいいのかな。ビアンキさんがマフィア関係者だとしたらフウ太くんもきっとそうだろうし…いや憶測に過ぎないんだけど!
てゆーかアレ?ビアンキとフウ太って言葉どっかで聞いたことあるような…。

……あ!思い出した!確か初めてランボとイーピンと会った時に言ってたんだ!(標的7より)

ってことはアレか、


『二人はツナの同居人なのか』

「ええ、そうよ。なんで知ってるの?」

『前にツナが学校で言ってたんだよ。ビアンキがどーとかフウ太がなんとかって』

「ツナ兄、僕達のこと話してたんだね」


なんだか嬉しいなぁ、と笑うフウ太は天使に見えた。いやむしろ天使にしか見えなかった。かわいいなこのやろう。


「ちなみに私は隼人の姉よ」

『? 隼人?隼人って…』

「獄寺隼人のこと」

『ぅええええ!?アイツこんな美人なお姉さんいたの!?話せよ!もっと早く知り合いになりたかった!』


バッカヤロウ獄寺め!美人なねーちゃんを隠しておきたくて黙ってたな!?あんにゃろ、明日シバいてやる!!……や、言ってみただけだよ。ホントにはやらないよ。やり返されんの目に見えてるし。


「あっ もうこんな時間!ごめんなさい風香ちゃん、もう帰らなくちゃ!」

『え?……マジかもうこんな時間か。あたしも帰んなくちゃ』

「またいつでもいらっしゃいねー!」

『はーい!』


手を降って別れた。





(獄寺ァァァ!てめっ あんな美人なおねーさんいるなら言えよォォォ!!)
(なんでお前が姉貴の存在知ってんだよ!?)
(昨日バッタリ会った!)
((だからビアンキ昨日あんなに嬉しそうだったのか…))

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