日常編 | ナノ

 跳ね馬との再会

沢田が友達になりたいと言ってから数日が経ったある日。風紀委員の仕事が終わり(あたしは風紀委員ではない)帰宅しようとしたらツナに声をかけられた。一緒に帰らないかと。マフィアと帰宅?んなバカな。もちろん断ったさ。いや、正確には断ろうとした、だ。邪魔が入ったのだ。それは言わずもがなリボーンである。


『いやだよなんでツナんちいかなきゃならないの』

「いいじゃねーか、別に。どうせすることなくて暇なんだろ、お前」

『確かにそうだけれども』


ワーワー騒いでいるとどうやら着いたらしくツナが足を止める。


「どなたですかー!?」

『ツナ、アンタって実はお坊っちゃま?こんなにボディーガードつけちゃって』

「いや違うから!!」


沢田、とかかれた表札を見る限りどうやらここがツナの家らしい。だがそこにはスーツを着たイカツイ男達がたくさんいて。ボディーガードかと思ったがどうやら違うらしい。


『ツナ、あたしはこの中に入る勇気はありませんので帰らせていただきます』

「オレを一人にしないで!」

『バッキャロ!お前男だろーが!こーいう時はなァ"俺に構わず先にいけ…!"とか言うモンなんだよ!』

「嫌だ!一人であの中いくのは!」

『自分の家だろーが!!』

「頼めるのは風香しかいないんだ!」

『いやそうだけれども!!』


嫌だ嫌だと言うあたしをツナは引っ張っていく。聞こえてくるヒソヒソ声といえば、あの方が例の…やら、ボンゴレやら、そんなことばかりだった。



ツナに引っ張られ家の中に入る。そしてリビングと思われる部屋から出てきたのは一人の女性だった。


「お帰りなさいツー君。あら、その子は?」

「学校の友達だよ」

『日比野風香です』


ぺこりと頭を下げる。口調からしてツナのお母さんだろうか。


「ツー君のお友達なのね!これからも息子をよろしくね」

『え、あ…はい』


あ。
ヤベェェ!!ノリで返事しちゃったんだけど!これからもよろしくねってことはマフィアのことを頼むってことであって……あれ、お母さんはマフィアのこと知ってるの?


「あっ そうそう、ツー君にお客さんが来てたわよ」

「お客さん?」

「そうなのよ。とってもハンサムでカッコよかったわ〜」


あとでお菓子持っていくわねー、というとツナのお母さんはリビングに戻っていった。


「とりあえずオレの部屋あがって」

『…はーい』


逃げられないと悟ったあたしはおとなしくツナの後ろについて二階にあがった。



***



中からも数人の気配がする。しかしツナは気づいていないようで、乱暴にドアを開けた。


「リボーン!!お前の仕業だな〜!」

「待ってたぞ、ツナ 風香」

『え、あたしも待たれてたの?てゆーかいつの間に家の中にいたの』


ツナの部屋には案の定ボディーガード的な人がいた。そして部屋に似合わない椅子が置いてあって。そいつゆっくりと振り返る。


「いよぉ、ボンゴレの大将。はるばる遊びにきてやったぜ」

『!?』

「オレはキャバッローネファミリー10代目ボス ディーノだ」



『ディ…ディーノォォォォ!?』



思わず叫んでしまった。いやいやいやいや!いやいやいやいや!!


「よっ!久しぶりだなー、風香!」

『いやいやいやいや!!え、キャバッ…なに?10代目?ボス?え、どどどどどーいうことォォォ!?』


後ろで「この人と風香ってどーいう関係!?」やら「リボーン説明しろよ!」やら「風香って何者ー!?」やら聞こえてきたけどそれどころではない。なぜならあたしだって自分の事で精一杯だからさ!


「風香の嬢、黙ってて悪かったな」

『ロマーリオォォォ!!てめっ どーいうことだコノヤロー!!』

「風香の嬢落ち着いてくだせェ!!」

『落ち着いていられるかァァァ!!』


ジタバタと暴れるが、相手は男である。それに年も相当離れているので力では当然敵うワケがなくて。


『………ゔ〜』

「悪かったって。機嫌直せよ、なっ?」

『…ハーゲンダッツ奢ってくれるなら許してあげないこともない』

「わかったわかった」


ポンポンと頭をなでてくれるディーノ。
子供扱いされているような気がするけど気にしない。だって好きなんだもの。

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