たまには休息も大切だ
『あー…ダルッ』
体育祭が終わって数日。体育祭が始まるまでは準備やら練習やらで授業なんてまともにやっていなかったが、体育祭が終われば話は別だ。むしろ遅れを取り戻さんと先生方は躍起になっている。
そんな授業も終わり、そういえば今日は呼び出しなかったなー、なんて考えながら教室を出た。そして草壁さんに会った。
「あ、いたいた」
『………』
「ちょ、無視しないでくださいよ!」
『アナタダレデスカ?』
「片言!?ってそうじゃなくてですね、今日は急な委員長会議が入って応接室には来なくていいって伝えにきたんですよ」
あたしはひそかにガッツポーズをとった。
『そうなんですか!了解。じゃ、また明日!』
「気をつけて帰ってくださいね」
嬉しさのあまり笑顔になっていた。よし今日はケーキでも買って帰ろうかな、なんて思って学校を出た。
* * *
「何をするんですか!」
「そこをどいてください!」
「いーじゃんいーじゃん」
「オニーサンたちと遊ぼうよ」
「やめて…!」
ケーキを買いに行こうとしたら、路地裏でそんな会話が聞こえてきた。どうやらナンパらしい。助けに行こうと思ったのは前世の記憶のせいだろうか。
『はーい、オニーサンたちそこまでー』
「ああ?」
「おっ この娘もケッコーかわいいじゃん。どう?俺達と遊ばない?」
『お断り。遊んでほしいんだったら泣いて土下座しな。もしくは金だけ置いてさっさと帰れ』
しっしっと犬を追い払うように手をふると男達は怒りを露にしてきた。
「んだとこのクソ女!!」
「殺すぞコルァ!!」
『殺れるもんなら殺ってみろ』
帯から木刀を抜くと一瞬で男の目の前に現れ、首筋に軽く当て気絶させた。
『ふぅ…だいじょーぶお嬢さん方?』
「ありがとうございました!!」
「私たち本当に困っていて…あれ、日比野さん?」
ナンパされていた子は二人組だった。どちらも容姿は整っていてナンパされてもおかしくないななんて思った。
『並中の制服…』
「私、笹川京子って言います」
「京子ちゃんのお知り合いですか?ハルは三浦ハルって言います!」
『京子ちゃんにハルちゃん、ね』
「助けてもらったお礼にケーキおごります!ここの近くにあるラ・ナミモリーヌっていうケーキ屋さん、すごくおいしいんですよ!」
『え、いや別に…』
いいのに、とは言えなかった。彼女達の目はおごらせてくださいというよりもおごらなければ気がすまないというような目だったのだ。
あたしは引きずられるようにしてその場を後にした。
***
『お…おいしい…!』
「だよね!私ここのお店すごく好きなのっ」
「ハルはここのモンブランが好きですっ」
ラ・ナミモリーヌに連れて来られたあたし。気がつけば二人とは仲良くなっていて、あたしは二人のことを京子、ハルと呼ぶようにした。
「風香ちゃんって強いんだね!さっきびっくりした」
「あっ それハルも思いました!」
『護身術程度に剣術習ってただけだよ』
にしてもこれマジうまい。ラ・ナミモリーヌ最高。また来ようかな。
「あと、リボーン君が風香ちゃんのこと話してたんだよ」
『はっ?つかリボーンって…』
「ツナさんのところのベイビーちゃんですよ!」
沢田と知り合いなのかこの二人…!
いや確かに京子はわかるよ、同じ学校同じクラスだもん。でもまさかハルとも知り合いだったなんて。
「ボンゴレに風香って奴をくわえるんだー、って言ってたよ」
「強くてヒバリにも一目おかれてる奴なんだぞ、つか」
何言ってんのあの赤ん坊!!
『いや…そんなたいしたものじゃ…』
「ううん、そんなことないよ!」
「ハル達を助けてくれたじゃないですか!」
ありがとう、と声を揃えて言う二人。かわいい。思わず抱き締めていた。
(わわっ どうしたんですか、風香ちゃん)
(ふふっ 別にー)
(だったら私も抱きついちゃうよ!)
(あっ ハルも!)
((天使だろこの二人))
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