日常編 | ナノ

 体育祭ってこんなんだっけ

体育祭。それは人間誰しも一度はやる学校のイベント的な行事である。とても盛り上がるイベントであり、団の団結力が深まる行事である。しかしやりたい人もいればやりたくない人がいるのが体育祭というもので。


「風香ー、アンタが出る競技コレね」

『んー…ってはぁ!?借り物競争!?ヤダヤダやりたくないコレ!!』

「しょーがないでしょ、もう決まっちゃったんだから」

『やりたくないんだけど!!』

「ワガママ言わないの」


ワガママっつーかそう思うの普通でしょ!つーかヒバリに呼ばれてる時に決まってるなんて思わないから!


『ちょ、先生そりゃないんじゃないの?』

「しょーがないよ、決まっちゃったんだから」

『先生まで!?』

「「「しょーがないしょーがない」」」

『もうヤダこのクラス!!』


なんで変なトコで団結力強いのかなぁもう!


「ま、頑張りなって」

『慰めるくらいなら競技の量減らしてくれてもいいんじゃない?』


100m走に二人三脚にパン食い競争に借り物競争。一人でこれだけ出るって何。いじめじゃね?これ軽くいじめじゃね?
ちなみに、メインの棒倒しのA組の総代表は沢田らしい。意外っつーかなんつーか…。


『沢田も苦労人だねェ…』


大方、獄寺とかにそそのかされたんだろう。多分。



***



〈100m走の一位は日比野風香ー!ものすごい走りでしたね!まさに「負けたら殺される!」みたいな走りでした!〉


100m走はほとんどあたしの独走だった。つーかアレだし、昨日ヒバリに「一位以外だったら咬み殺す」って言われちゃったし。ヒバリの目は本気だったのでガチで走りました。

そして二人三脚。ペアはうちのクラスの割とイケメンな男子。名前?佐藤くんだよ。ちなみに彼は世にいう残念なイケメンである。なぜなら、


「風香とくっつけるなんてマジ幸せだわ俺…!」

『オイさりげなく腰に手を回すな、尻を撫でるな』

「ああ、風香……!!」

『お前ホントもう黙れ』


という性格だからである。
黙ってればイケメンなのに、黙ってれば。


〈よーい…スタート!!〉


ピストルの音が鳴り響き、二人三脚が始まった。
二人三脚というのは二人の息が合っていなきゃ難しいもので、スタート直後でもうバラバラの人達もいた。


「風香、俺達息ピッタリだな!やっぱり運命のあい…」

『口動かしてんなら足動かしな』

「ハイハイ」


アンタ遅いのよ!あんだと、お前がおせーんだろ!違うわよ、アンタのせいよ!お前のせいだろうが!ふざけないで!お前だろそれは!……などと口論をするカップルと思しき二人組はスタート前からほとんど動いていなかった。お前らホントカップルかよ。


〈ゴ―――ル!!またしても日比野さん一位です!ご感想は!?〉

『咬み殺されたくなかった』


そう言うとドンマイみたいな視線を受けた。そんな目で見ないで。

そのあと、クラス対抗の綱引きやリレーやらをやった。パン食い競争?もちろん一位だよ。だってアレだよ、本部テントでヒバリめっちゃ見てるからね!一位とれよとらなきゃ咬み殺すぞって見てるからね!

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