本部のフロアを歩いていると、前から歩いてくるのは個人ランク二位の風間さん。キョロキョロと頭を動かしており誰かを捜しているようだ。
『こんにちは風間さん。誰かお捜しですか?』
「風香か。ああ、太刀川…お前の兄に用があったんだが…」
『兄さんに?』
「ランク戦をしようと誘ってきたくせに見当たらないんだが、なにか心当たりはないか?」
そう尋ねられ、昨夜の兄さんの行動を振り返ってみる。ええと、確かレポートが終わってなくてやばいよ今度こそガチで忍田さんに殺されるとか言ってて…。
『忍田にお説教されてるんじゃないかと思います』
「またレポート溜め込んだのかアイツは…」
はぁ、と頭を抱えため息を吐く風間さん。
ダメな兄ですみませんと謝ると、風間さんはお前が悪いわけじゃないだろうと言って頭を数回なでてくれた。何この人超イケメン。
「じゃあ俺は部屋に戻る。太刀川に会ったらそう伝えといてくれ」
『りょーかいです』
風間さんと別れ、そろそろあたしも帰ろうかなーと思っていたら未来を見ることができるとかいうチート能力を持った奴が前から歩いてきた。あたしはそいつをチラリと見ると、そのまま何事もなかったかのように横を通り過ぎた。
「待て待て待て待て!」
『…なに?』
「いやなにじゃなくて!なんで普通に横通り過ぎようとするの!?もっとコミュニケーションとろうよ!」
『十分すぎるくらいとってるから大丈夫』
通り過ぎようとしたが、迅に肩をつかまれそれはできなくなった。
「俺ともお話しようってことだよ!」
『やだよめんどくさい』
「一言で片付けやがった…!」
『ちょっと重い!のしかかんな!』
「いいじゃんかー。少しくらい俺に構えよー」
『やだ』
「……」
『ちょおお!体重かけてくんな重いつぶれる!』
「……」
無 視 か よ !
「よう迅。人の妹いじめんの楽しいか?」
「すっげえ楽しい」
『楽しむな!あと兄さん見てないで助けて!』
「え?聞こえなかった。もっかい言って」
『ぶっ殺す!!』
ふしゃー!と威嚇するがなにぶん相手は兄さんだ。ケラケラ笑ってる。このヤロウマジで人生から
「そうだ、俺お前に言いたいことがあって来たんだ」
『なに?』
「課題写させて」
『忍田さんにもっかい説教されてこい』
(てゆーかあたし兄さんより年下だからね!?)
(いやいやお前頭いいから俺の課題なんてちょちょいのちょいだろ)
(しかも全部丸投げかよ…!)
(そーいえば太刀川さん、さっき風間さんが探してたよ。ランク戦やる約束してたんじゃないの?)
(やっべすっかり忘れてた。じゃあな風香、あとは頼んだぜ)
(ふざけんなぶっ殺す)