都市伝説あらわる


某高級マンション。そこの最上階が新羅の家であり、セルティが居候している場所だ。
マンションに着いたセルティは合鍵で扉を開ける。ついで聞こえてくるのは家の中からの足音だった。


「おかえりセルティ!今日はいつもより早いね――ってなんで静雄がいるの?またケガ?」

「それもあるが、コイツの様子を見てもらいたくてよ」


よく見ると静雄は何かを背負っていた。新羅はそれを見る。その背中には、女がいた。


【実はな、新羅――】

「誘拐なんてダメじゃないか、静雄!」

「は?」

【いや、ちが――】

「セルティもなんで止めなかったんだい!?静雄が誘拐犯になってもいいってのかい!?」

「おい」

「大体なんで静雄がここにいるわけ?ここは僕とセルティの愛の巣なんだけど」

「話をきけ」

「愛の巣に無断で入ってくるなんでデリカシーがないね、まったく」

「死ぬか?」

「心の底からごめんなさい」


静雄にボキボキと腕を鳴らされ、新羅は目にも止まらぬ速さで土下座をした。


「で?その子は誰?なんで静雄が背負ってるの?」

【私が悪いんだ。私の、せいなんだ】

「? どういうこと?」

【私がその子を、轢いてしまったんだ】


新羅の目が見開かれる。


「だ、だだだだ大丈夫だったかい!?」

「気絶してるからお前のとこに連れてきたんだろうが」

「ケガしてないかい!?セルティ!」

【私じゃない、この子の心配をしろ!】


セルティに叱咤され、新羅はしぶしぶ静雄の背中にいる女に目をむける。
新羅は静雄にその子をソファにおろして、と言い診察を始めた。


「心臓は異常なし、その他も特に異常はないよ。セルティ本当にこの子のこと轢いたの?」

【わ、私を疑うのか!?私は確かにその子のことを轢いたんだ!】

「いやいや、セルティのことを疑っているわけじゃないよ。僕がセルティのこと疑うはずないじゃないか。でもさ、バイクに轢かれたって言うのに彼女、傷一つないんだもん」

【…は!?】


セルティは間をあけ、それからPDAにそう打ち込んだ。
しかし静雄は思った。確かに背負った時血出てなかったなー、と。


「轢かれたのにも関わらず傷一つ負ってないなんて…まさかこの子は静雄と同じ人種ぶべら!」

「コイツはともかく俺は人間だ」

【ともかくってお前…】


『ん…っ』


【「「!!」」】