日向ぼっこと団子
ポカポカと暖かい昼下がり。
先日は自称鬼の変な奴が屯所に来てわちゃわちゃなったけど、本日は平和です。
そしてあたしは縁側に座っている。なんかこう…日差しが暖かくてね。
『ふあー…』
「眠いのか、風香?」
『あ、左之さん』
暇だな、眠いな、なんて思っているとこっちに誰かがやって来る気配がした。それは左之さんだった。
「こんなとこで何やってんだ?」
『暇だから日向ぼっこー』
左之さんもどう?そう誘えば、丁度暇してたんだ、と返ってきてあたしの横に腰をおろした。
左之さんはついさっき巡察が終わったらしい。少し斬りあいをしたらしく、隊服のところどころに砂がついている。敵は負けるとわかったのかそのまま逃げたという。
「んでな、風香に土産があるんだ」
『? 土産?』
「じゃーん」
そう言って左之さんが懐から出したのは団子だった。
え、ちょ、めっちゃ美味しそう!
『どうしたのこれ!?え、食べていいの?お土産?あたしに?』
「ああ。ほら、風香はまだ外出許可がおりてないだろ?千鶴がさ、風香が甘いもんが好きだって言ってたから買ってきた」
優男すぎる。
『っありがと左之さん!』
「!! お、おう」
『お茶入れてくるね!そこでちょっと待ってて!』
言うやいなや、あたしは台所に向かって行った。
(反則だろあの笑顔…)
(確かに反則物ですよね、あの笑顔)
(!? そ、総司!?お前いつから…!?)
(「眠いのか、風香?」くらいからかな)
(それほぼ最初からじゃねぇか…!)
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