危険人物注意報
それは、屯所に慣れてきて数日経ったある日のことだった。
『朝餉おいしかったー。今度一君に作り方教わろっかなー』
朝餉を食べ終わったあたしはたいしてすることもなく屯所内をブラブラ歩いていた。
「──いや、離して…!」
「──何を照れている、我が同胞よ」
この声はマイエンジェル千鶴だな!そして誰だ後者の声は。明らかにきいたことのない声だったぞ。
『千鶴ー、何して…何してんの!?』
気になったあたしは声のした方へ足をすすめる。そして到着。そこには…
『ちょ!!アンタ誰!?そして千鶴から手を離そうか』
「何故貴様に指図されねばならん」
『指図じゃねーしお願いだし』
金髪赤目の男は千鶴を抱き締めていた。オイその立場かわれ。
「風香さん…っ 助けてください!」
『お前千鶴嫌がってんだろ離せよ。さっ あたしの胸に飛び込んでおいで!』
「離してください、風間さん!」
だけど男は離す気配は微塵もない。
「何故離さねばならんのだ。千鶴、お前は我が妻だろう?」
マジですか。
『ええええ!?そうなの千鶴!?ちょ、私きいてないよそんなの!?』
「ち、違いますよ風香さん!信じないでください!!」
* * *
『なるほど、大体わかった。要するにコイツは千鶴に思いを寄せているが相手にされずそれが逆に照れ隠しだと勘違いしてるイタイ奴だってことだ』
「貴様…っ、それ以上この俺を侮辱するのなら今この場で斬るぞ!」
『はんっ 受けてたってやるよ』
「鬼の俺に勝てると思っているのか?」
『は?鬼?』
鬼ってあの鬼?「鬼は外、福は内」の鬼?
それとも鬼の副長とかそーいうアレの鬼?
「フン、その様子では鬼の凄さをわかっていないな」
『鬼か…ってことはアレか、ツノ生えたりすんのか』
「当たり前だろう」
『ええ!?』
マジか。うわあ適当に言ったのに当たっちゃったよ。
prev /
next