焼肉奢ってもらいました
忍田さんに焼肉を奢ってもらった翌日、朝から迅にからまれた。正直鬱陶しい。
「昨日忍田さんと焼肉行ったんでしょ?おれも行きたかった」
『なんで知ってんの』
「おれのサイドエフェクトが教えてくれた」
『そんなこったろーと思ったよ。いいでしょ羨ましいでしょ』
「うーわー、そのドヤ顔腹立つー」
そう言いながら迅はあたしの背中にのしっと体重をのせてくる。
『重い暑い離れて』
「やーだー」
『駄々っ子か!』
そんなやりとりをしていると、レイジさんと小南が入ってきた。ちょっと小南暑いのはこっちなんだかんね?見るからに暑いから離れてよみたいな目で見ないでくれる?離れたいのはやまやまなんだから。
「迅、風香…アンタら暑くないの?」
『暑いよ!』
「じゃあ離れなさいよ。見てるこっちが暑いわ」
『あたしだって離れたいんだよ!』
でも離れてくれないんだもん!と叫ぶとレイジさんが迅を剥がしてくれた。感謝です。さすが落ち着いた筋肉。
「だってコイツ昨日忍田さんに焼肉おごってもらったんだよー」
「え!?そうなの!?」
「焼肉か…」
「本部長のおごり!?なんでよずるい!」
『あたし非番だったのに仕事したもーん。そしたら忍田さんが奢ってくれるって言うからお言葉に甘えた!』
ドヤァ!とドヤ顔をすると、その顔やめなさい腹立つ!と言われた。ちょっと小南あたし年上。
「おはようござ…何やってるんすか」
『京介ー!聞いてよ、小南がさ!』
「なるほど焼肉っすか」
『なんで知ってんの』
「実は俺、未来予知のサイドエフェクト持ってるんす」
「え!?そうなの!?」
『いや、ないでしょ』
「あります。俺の目をちゃんと見てください」
そう言って京介はあたしの腕を引き、目線を合わせてきた。……膝を折り曲げて目線を合わせるあたりが腹立たしい。
「まあ、嘘ですけど」
『知ってるよ』
「!? !?」
小南は「え!?何!?結局どっちなの!?」みたいな感じでワタワタしてるけど面白いから放っておこう。
「玄関でみんなの声が聞こえたので。ほら、みんな声デカいすから」
『なーる』
「え、そこ納得しちゃうの」
『だからなんで迅は引っ付くの』
「柔らかいから」
『セクハラだーっ!』
「大丈夫大丈夫、風香相手に欲情したりしないから」
『どういう意味だコラ』
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