ナンパのあとにはヒーロー参上



月曜の放課後。先生の諸事情で部活がなくなり暇を持て余していたあたしはブラブラすることにした。たまにはあんま通らない道通ってみよっかなーと思い歩いていると、知らない男に話しかけられた。制服だった。この制服は…青城か。
「今暇?遊ばない?」なんてお約束の言葉を言う彼らは正直言ってうざい。『暇じゃないです』と笑ってその場を立ち去ろうとした。だが諦めないのがナンパというもので、肩をつかまれた。腕を引っ張られた。コイツ力強いんだけどなんでだよ。


『ちょ、離して…っ』

「奢るからさ」

『(そーいう問題じゃねぇよ…!)』

「どこ行きたい?君の行きたいところでいいよ 」

『だから離し…「お前らさ、俺らの知り合いになにしてんの?」、は?』


ぐいっと反対方向に腕を引かれ、その勢いで腕を引いた人の胸に頭が当たる。


「ナンパは嫌がってる女の子無理矢理連れていくもんじゃないデショ」

「失敗したなら潔く諦めなヨ」

「あ?お前らには関係ねぇだろ」

「関係あるから口出ししてんだけど?」

「この子さー、俺らの主将の幼馴染みちゃんなんだよね。だから手出さないでほしいんだケド」

「お前らの主将…ってまさか…!」

「わかってくれた?ほれほれ、さっさと帰った帰った」


くっ…、と声をもらす男子生徒。そしてあとから来た二人の男子生徒を睨み去っていった。


『あ、の…』

「んー?」

『助けてくれて…ありがとう、ございました』

「いえいえー。どーってことないって」

「あとからアイツらにバレる方がヤバいしな」

『? アイツら?』


アイツらって誰だろう?そーいえばこの人達も見たことあるような…どこでだっけ?


「及川と岩泉だよ」

「二人の幼馴染みだよね?たしか」

『あ、はい。そうです、けど…』

「俺、青城バレー部三年の花巻貴大。よろしくー」

「同じく三年の松川一静。ポジションはMB。こいつがWS。よろしく〜」


ふにゃーっと笑い話しかけてくる二人。なんかデカイけどかわいいな。


『日比野風香です。烏野二年でバレー部のマネやってます。よろしくお願いします』


自己紹介をし、その流れで一緒に帰ることになった。


「烏野は練習ないの?随分早いけど」

『先生達の諸事情でなくなったんです。本当はあったんですけどねー』

「へー。ねぇ、日比野ちゃんの好きな食べ物ってなに?俺シュークリーム」

「俺チーズinハンバーグ」

『甘い物ですねー。ケーキとかクレープとか』

「お、仲間ジャン。今度ケーキバイキング行かねぇ?」

『マジっすか!行きたいです!』

「俺も連れてけよなー」

「気が向いたらな」

「二人っきりと及川と岩泉(アイツら)にバレたらどーなるんだろーな」

「三人で行こうじゃないか」


そんな会話をしながら帰宅した。
帰り際にLINEを交換し、三人で写真を撮った。トプ画にしよーぜ、と花巻さんが言ったのでトプ画にした。


『今日はありがとうございました』

「おー。楽しかったな」

「だなー。じゃーな、日比野ちゃん」

『さよならー』


手を振って別れ、家に入った。
二人はさっき歩いていた道を戻っていっていたので、送ってくれていたんだとわかり嬉しくなった。


  | top |