帰ってきた守護神
友達が「ゴッメン!今日彼氏とお昼食べるから!」とめちゃくちゃイイ笑顔で言ってきたので今日は一人だ。リア充爆ぜろ。
屋上で食べようかと思い歩みを進めていると前方には見慣れた巨体が。これは行くしかないだろ!そう思ってタックルをかましに行った。
『あっさひさーん!』
「!? 風香!?びびびびっくりしたぁ…」
『旭さんこれからお昼ですか?』
「そうだけど…。てゆーか背中痛い」
『一緒に食べません?』
「別にいいけど…いつも一緒に食べてる友達は?」
『彼氏とラブラブしてますよリア充なんて爆ぜてしまえ』
なるほどね、と旭さんは呟いた。
『屋上で食べようかと思うんですけど、どうですか?』
「うん、構わないよ」
***
ということで屋上なう。
『…旭さん』
「ん?」
『部活に戻ってきてくれませんか』
またその話か、という風に旭さんは苦笑する。
『ノヤが、戻ってきて…』
「スガから聞いたよ。1年に凄いセッターと最強の囮が入ってきたんだろ?」
『だったら!』
「俺が戻っても、また皆の足を引っ張っちまう」
『そんなこと…っ』
ないのに。
旭さんが足を引っ張るなんてこと、ないのに。
『…旭さんは、エースです』
「……」
『誰がなんと言おうと、旭さんは烏野のエースです』
新戦力が加わって。
ノヤが戻ってきて。
旭さんも戻ってきたら。
烏野は落ちた強豪≠ネんかじゃなくなる。
でもその為には大黒柱のエースが必要で。
旭さんが居なくちゃ始まらなくて。
『お願いします、旭さん』
「…悪い、風香」
ポン、と頭に手を置かれる。
『じゃあ、』
「ん?」
『見に来るだけでいいです。影からこっそり見てるだけでいいです』
「? えっと…」
もしも旭さんがバレーを嫌いになっちゃったんだとしたら。
あの試合のせいで、嫌いになっちゃったんだとしたら。
そうしたら無理強いはしないけれど。
でも。
まだ好きなのなら。
まだバレーが好きなのだとしたら。
日向・飛雄を見たらきっと、バレーをしたくなるはずだから。
『ね?』
「影から、なら…その…」
『ありがとうございます、旭さん』
とりあえず承諾してくれてよかった。そう安堵のため息を吐いたのは秘密である。