幼馴染みということがバレる
体育館に入り数分すると、試合開始の笛が鳴った。
『…………』
内容がものすごく悲惨だった。
大地さんが取るボールをわざわざ日向が取ったり、田中にぶつかったり、タイミングが速かったり。
緊張するのはわかるけれど、これは緊張しすぎじゃないだろうか。
あと1点落としたら第一セット終了の局面で、まさかの日向のサーブ。それを飛雄の後頭部に当ててしまい、第一セットは終了した。
『(とっ……飛雄が怖い!!)』
「ま、待て影山!気持ちはわかるが抑えるんだ!」
「…まだ…何も言ってませんけど」
飛雄に静止をかけるのは大地さんだ。でも飛雄の迫力にあの大地さんがたじろぐ。もう一度言う。大地さんがたじろいだ。
飛雄はともかく他の連中まで日向を責めんなよ…。日向が更に畏縮したら終わりなんだから…!
「…ぶォハーッ!!ぅオイ後頭部大丈夫か!!!」
「ナイス後頭部!!」
『煽るのもダメでしょーが!!』
「ヤメロお前らっ」
確かに責めるなとは思ったけど!でも煽るのもダメでしょう!わかるでしょう田中に月島!!
飛雄はゆらりと日向の方へ歩みを進める。日向が壁に追いやられ、二人は動きを止める。
「………お前さ、一体何にビビってそんな緊張してんの?相手がデカイこと…?初めての練習試合だから…?」
「……………………」
日向の全身からぶわあああっと冷や汗が出る。
「俺の後頭部にサーブをブチ込む以上に恐いことって――…なに?」
「――…とくにおもいあたりません」
「じゃあもう緊張する理由は無いよなあ!もうやっちまったもんなあ!一番恐いこと!」
スパァン!!スパァン!!と後頭部を何度も叩く飛雄。
……やべぇ飛雄が日向をいじめてる様にしか見えない。
「……それじゃあ…とっとと通常運転に戻れバカヤローッ!!!」
アレ?と日向は声をもらす。そしてなぜか金田一を睨んでいた。