放課後の秘密(慶半)

「先生……」
熱い吐息が鼓膜を揺さぶる。
耳を舐め、甘噛する。
「ふっ…けい、じ君っ……ぁ、」

誰もいない放課後。
帰宅を促すチャイムはとうになり終わって、外は暗くなり始めていた。

教師である竹中と生徒である慶次は、その壁を越え恋仲である。
竹中が帰宅する時間まで慶次は適当に時間を潰して、そして一緒に竹中の家に帰る。
今日は補修がありそれを終えた慶次は、付きっきりで教えてくれた教師、竹中に今、襲いかかっている。

普段は帰ってからこのような行為に至るのだが、今日のように時々慶次は学校内で竹中にこうした悪ふざけを仕掛ける。


「ん、だめっだってば、慶次君…っ」

ついに慶次の手が竹中のシャツの中に侵入する。
大きな手が、細い体に絡み付くように滑っていく。

ごち。

鈍い音と共に、慶次の短い悲鳴が上がった。

「い、いい加減にしないかっ」
「う〜…いってぇ……!」

竹中のげんこつが慶次の脳天へ直撃した。
潤んだ目、上気した頬で怒ってもあまり効果はないので、竹中はこうして慶次が悪ふざけをしてくるといつもげんこつで制裁していた。

「……そんなに僕が欲しくなったのかい?」
「!」

言いずらそうに、ぼそぼそと溢した竹中の言葉に、慶次は勢い良く顔を上げた。

「欲しい」
「ふ、欲望に忠実だね君は……しょうがない。続きは帰ってからね」

慶次の頬を優しく撫で、竹中は少々呆れ気味に微笑んでみせた。








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