二度寝の言い訳(慶半)



昔から朝は苦手だ。
気だるくて、中々起きることができない。
特に、恋人と夜を過ごした翌日は。


午前7時を知らせるアラームがけたたましく鳴る。
止めたいけれど身体が動かない。
彼に言わせれば、僕は朝はいつも白い顔が更に白く、まるで死んでいるようでヒヤヒヤするらしい。

「ん……」と唸ってみても状況は変わらない。
そのうちにアラームが一旦止まった。
また10分後に鳴るように設定しているから、その時になったら起きようとぼんやりとする頭で決意する。


隣には、恋人である慶次君が眠っている。
高校生の彼は僕よりも背が高く体格も良い。
彼を見ていると劣等感に苛まれる時がある。
それも含めて、受け入れて、彼は僕を好きだと語る。
高校生が社会人を捕まえて何を言っているんだ、と思った。
最初は信じられなかったけれど、彼の心の暖かさに触れていくうち、そんな疑心はいつの間にか消えてしまっていた。

太陽みたいに明朗に笑って、
快活な声で周りを賑やかにする。
そんな彼がどうして僕を選んだのか。
それは未だに不思議ではあるけれど。


寝返りをうって、そこに眠る彼を見つめる。
あのアラーム音でも目を覚まさないのか…。
気持ち良さそうにすやすやと幼子のように眠っている。
その様子に少しだけ腹が立つ。


起きられないのは君のせいでもあるんだよ、分かっているのかい。
…まったく、高校生は元気だね。
20代にしては枯れ気味な僕には、もう少し容赦してほしいものだ。

心中で悪態を吐きながら、そろりと彼へ身体を寄せる。
慶次君は体温が高くて温かい。
この症状は、体温が上がれば起きられるようになる、などと言うことはない。
それでも、この温もりに包まれていると、不思議と次の目覚めはすっきりとする。
…ような気がする、だけなのかもしれないけれど。



厚い胸板に額をつける。
彼の匂いがした。
長い髪に触れるように装いながら、そっと背中に腕を回す。

普段の僕はあまり彼に対する想いを口にしない。
だから、たまには。
こうした朝くらいは。

君の隣で。




言い訳でもしないと、僕は素直に甘えられない。









今日が吉三の日だということをすっかり忘れてました…後悔。

2014.4.3








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