ノンケ×俺様健気
「それじゃあ今日のHRはこれで終了。明日も遅刻なんてしないように」
担任がそう告げた瞬間、友達数人に俺は囲まれた。
「石倉今日暇?」
「おう、暇だけど」
そう返すと、「まじで?よかった」と盛り上がる友人たち。
「何、なんかあんの」
彼らの喜び方が異様でそう尋ねると、にやにやと笑いながら肩を組まれる。
「実はな、今日これから合コンなんだよ。でも人数足んなくてさ」
――石倉に来てもらおうと思って。
とささやかれた瞬間、俺は思わず歓声を上げた。そういうことなら早く行こう、と鞄を掴み教室を飛び出そうとする。が、急に後ろから腕を掴まれ足止めを食らってしまった。
「俺急いでるんだよね。榎本、放してくんない」
愛想笑いを顔に貼り付けて、俺の腕をしっかりと掴んでいる榎本に向き合う。掴まれた腕を振りほどこうとするが、思った以上に強く掴まれているのかびくともしない。苛立ちのまま小さく舌打ちをすると、目の前の奴が息をのんだのがわかる。
「いい加減にしてくんない。人待たせてんだわ」
吐き捨てるように言い放つと、目の前のこいつは意を決したように口を開いた。
「すぐ終わるから、ちょっと付き合え」
薄茶色の珍しくともなんともない目が真っ直ぐと俺を射抜てくる。ちらりと友人たちに目をやると、遅れんなよ、という言葉を残して彼らは行ってしまう。
俺は榎本に視線を戻し、ゆっくりと頷くしかなかった。
それから奴に手を引かれて図書準備室にやってきた分けなんだが、今のこの状況はいったい何なんだろう。
「一体どういうつもりなわけ」
教室に入るやいなや押し倒され乗り上げられた俺は、不機嫌さを隠すことなく目の前の小綺麗な顔を睨み付ける。すると、乗り上げている張本人、榎本は目を一通りうろうろさせてから早口で捲し立てた。
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