脱☆乳無し作戦 

主人公のキャラがぶっ飛んでいます。
ギャグです。







8月某所。天気晴れ。




ついに…ついに待ち望んでいたこの日がやってきた。
寝る間も惜しみ計画を立て続け、早2ヶ月。




逆巻アヤト。
上から目線な俺様系ドS。
あいつは私をいじめ抜くことが生き甲斐なのかもしれないと最近本当に思い始めてきた。


なぜかって?理由は1つに決まってる。


寝ても覚めても乳無し乳無し……


毎日乳が無い乳が無いと言われると、不思議と本当に乳が無いように思えてきた今日この頃。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?




以前、乳が無いことがあまりにも悔しすぎて、
「乳が無いことがそんなに悪いのか!」
「乳には脂肪しか詰まってないぞ!」
「乳があると体重が増えるだけだぞ!」
「乳無し最高ー!キャッホーーーイ!」
などと、乳のある友達に乳無し最高宣言をしていたところ、思いっきりチョークスリーパー(プロレス技)をくらった。


あの時は本当にやばかった。
目の前がフッと暗くなり、そのあとパッとおっぱい畑が広がった。
あの時のおっぱい畑ときたら…今思い返してもゾッとする。



とまあ、いかに私が貧乳であるかが皆様におわかり頂けたと思う。
そう、本当にないのだ。乳が。
自分でもびっくりするほどだ。


しかし、乳をどうにかすることはもう無理だ。
私の乳を使ってアヤトをぎゃふんと言わせるのは死んでも無理だ。
諦めた。



残された手段はもう、アレしかない。


TA☆KO☆YA☆KI☆
(たこ焼き)






ということで私は今日、アヤトをぎゃふんと言わせるため、大阪へとやってきた。





私のプランはこうだ。
大阪で一番おいしいと言われるたこ焼きをアヤトに食べさせる→アヤト感動→私褒められる→脱乳無し☆



ふふふ…完璧だ…完璧すぎて笑いが止まらない……あははははは!!!
私のことを乳無しと言っていられるのも今のうちよ、逆巻アヤト!
今日こそ目に物を言わせてやるわ!



 


「おい、乳無し。あちぃ。水買ってこい。」


「…………。」


「おい、聞いてんのか乳無し。水だよ水。俺様のために水を買ってこい。」


「…………。」


「てめぇ無視してんのか。乳無し!水だ!早くしろ!」


「だあぁぁぁぁぁぁ!!!!うっさいわぁぁぁぁ!聞こえてるわ!水でしょ水!ウォーターでしょ!私に水を買って来いって言ってんでしょ!?わかったわよぉぉぉ!買ってくるからここで待ってて!!!」


「ちっ……聞こえてんだったら返事ぐらいしろ、乳無しが。ほら、早く買ってこい。10秒だけ待っててやる。優しい俺様に感謝するんだな。」





せっかく人がいい気分に浸っていたのにやはり邪魔をする逆巻アヤト。
ここまでくるとある意味一種の才能である。



とりあえず今は水だ。
水を買ってアヤトに渡さなければならない。
ここで機嫌を悪くされ帰宅してしまったら今日の計画が全て台無しになってしまう。
それだけはなんとしてでも避けたい。




「はい!水!買ってきたよ!」


「遅ぇ!もっと早く買ってこい!そんなんだから乳がねぇんだよ。乳無しが。」




ピクッピクピク



いけないいけない。
こめかみが…こめかみの血管が今にも切れてしまいそうだ。


ってか関係ないよね!?
水買ってくるのが遅いことと乳が無いのって関係ないよね!?
水買ってくるだけで乳が成長するんだったら世界中の水を今から買い占めに行くわ!
買い占めて、世界一の巨乳にわたしはなるっ!(ワンピー○風)



とにかく急ごう……急いで今日のお目当ての場所まで行こう……。
じゃないと私、私……死ぬ!(死因:全身の血管爆発)







「えっと…確かお店はここらへんだったはず……あ!あった!ここだここ!アヤトー!着いたよー!」


「やっとかよ…。こんなところまで俺を歩かせやがって…。」


「こんなところまでって…駅から歩いて2分じゃん…遠くないわ…。(ボソッ)」


「乳無しごときが俺を歩かせるだなんで100年早ぇーんだよ!ったく…で?ここはなんだ?」




着いた…やっと着いたわ…。
驚くことなかれ逆巻アヤト。これからが本番だ。
計画したプラン通りに任務を遂行し、貴様を私の下僕と化してやるわ!あはははは!!!




「じゃーん!!ここはね!たこ焼き屋だよ!アヤトの好きなたこ焼きが売ってるの!」


「…………………。」


「ほらほらほらほら〜いい匂いがしてきたでしょ〜?この匂いはぜーんぶたこ焼きの匂いでぇ〜す!かぁ〜たまらないねぇ〜!!」


「………………。」




あ、あれ?おかしいな…反応がない…。
も、もっとこう、「うおぉぉぉぉぉ!!!たこ焼きじゃねぇか!!すっげぇな!!(キャラ崩壊)」みたいな反応が来るはずだと思っていたんだけど…。
失敗か?たこ焼き作戦失敗か?




「ア、アヤト…?たこ焼き、だよ…?」


「………………。」


「ほ、ほらっ!たこ焼き作ってるよ!ほらっ!す、すっごいね〜たこ焼きってああやって作るんだね〜!!」


「・・・」


「う、うわぉ!きゃっほ!すすすすすすすごいね!タコが入ってる!タコ投入〜!!!あはははは!」





アヤトから返事がないことに動揺してわけのわからないことを口走る私…。
たこ焼き屋の店主もドン引きだ。


………それにしても、なぜ返事が返ってこないのだろうか。
全然わからない。普通目の前に自分の好物があったら飛びつくだろう。


ダラダラと流れ出る冷や汗を拭きながら私はもう一度アヤトのほうを見た……。





「………え?」





そしてすぐに目をそらした。


なんだ…今見たものはいったい何だったんだ…?
なぜアヤトは大量の札束を店主に差し出しているんだ?


ちょいちょいちょい、落ち着け私。落ち着くんだ。



スーハースーハー。



……………だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!落ち着けられるかぁぁぁぁぁぁ!!!!
え?え?たこ焼きってそんな高価な食べ物だったっけ?
一般人でも気軽に食べられるものだったはずだよね?




「おい、おやじ。たこ焼き全部よこせ。そのたこ焼きは全部俺様のも……」


「ちょぉぉぉぉぉぉぉ!ちょ、アヤト!いったんこっちに来て!おほほほ、すみませんねぇ〜。ちょっとこの子、頭のねじが外れちゃったみたいでね〜おほ、おほほほほほ!!!」



とつぜん何を言い出すんだこいつは。
「たこ焼き全部俺様のもの」って言うつもりだったのか!?
そんなセリフ某国民的アニメのキャラクター、ジャイ○ンでも言わないよ!


おいおいおいまてまてまて。計画どころじゃなくなった。
予想外すぎてびっくりだ。
アヤトのことをよく知っているつもりだったがそうでもなかったようだ。
と、とりあえずさっきの行動の意味をアヤトに聞いてみよう。



「ア、アヤトくん…?さっきの行動はいったい……。」



「ざけんな乳無し!せっかく俺様がこの店のたこ焼きを全部買い占めるつもりだったのに邪魔しやがって!!」




…………やっぱり。
聞くまでのこともなかった。

い、いや。わかってたけれどさ。
わかってたけれど、本人の口から改めてきくとなんか辛いよね。
純粋にたこ焼きが好きなんだなってわかると、たこ焼きを使ってアヤトをどうこうしようと考えていた私を無性に殴りたくなる。


もういいかな。乳無しでもいいかな。


私は別に乳が無くても生きていけるもんね。
それに比べアヤトは…



「おい乳無し!俺にたこ焼きを食わせろ!目の前にたこ焼きがあるのに何で食えねぇんだよ!」




………うん。なんかこのままお預けをさせていたらアヤト死ぬかも。



「くっそ…たこ焼き…たこ焼きを食わせてくれ……。」




もう…計画なんていいや。
アヤトのこんな顔を見られただけで今日は満足かな。

乳無しはアヤトが私のために着けてくれたあだ名だもんね。
大事にしないと。うん、なんか心の中がすっきりした。


乳無し最高☆

乳無しありがとう☆

I LOVE TITINASHI☆


さあ、自分の心の中の整理もついたことだし、店のたこ焼き全部は無理だけれど何パックかは買ってあげようかな。ふふふ。




「アヤト〜!たこ焼き、食べようか!たこ焼きのおいしそうな匂いかいでたら私もおなかすいてきちゃった!」



今日は二人仲良くたこ焼きを食べよう!デートみたいだな。ふふふ。




「は?乳無しごときが、たこ焼きを食えると思うなよ?」


「……ん?」




なんか幻聴が聞こえた気が…………。




「乳無しはタコなしのたこ焼きでも食ってろ。」





………………前言撤回。

家に帰って今すぐ計画を練り直そう。






―END―



作:すあま



     

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