真っ白な壁。
 整頓された棚。
 ちゃんと並んだベット。
「はぁ〜」
 そして、ため息が一つ。
 ここは機動六課の医務室であった。
 そして。
「うぅーん、もぅ無理ですよ……なのは…さん……」
 やら。
「ふぅ、ぅん。んぁ……はやてぇ……」
 やらとベットの住民達の寝息と声。
 また、ここの中心にいる、一人の女性はため息をついた。
 そんな姿をみて、吹き出し、笑いだした茶色の髪の女性がいた。
 金髪の女性は振り向いて、うずいた。
「はやてちゃん〜」
「なんや、シャマル。そんなにため息ついて」
「ため息つきますよっ!」
 また笑いだした張本人――八神はやてにため息をついた女性――シャマルはわめいた。
「まぁ、ええやん」
 はやては笑いながら、シャマルに言う。

「最後の最高の思い出にるやんか」



全力全開後の医務室



「どこがですかっ!」
 ガバッと立ち上がり、のんきなはやてに叫ぶが、はやてはさらりと避けた。
 すると、後ろのほうから、声がした。
「本当ッスよ」
「……まったくだ」
 機動六課の男性二人、ヴァイスとザフィーラである。
 ヴァイスは壁に身体をあずけ、ザフィーラは浪の姿で座りこみ、くたくたになっていた。
「はやて隊長も、俺達怪我人って覚えてましたか?」
「しかたないやろ〜こんな大人数、ギンガやシャマル、私だけでも無理やろ。それに男は体力あるんやから。泣き言いわへん」
 その隊長の言葉に「マジッスか……」と肩をおとす男。
 ザフィーラは横目で、みつめていた。
「それよりっ!はやてちゃん!なんで後先考えずになのはちゃん達にOKだしちゃうんですか!?」
「ええやん。せっかくやったんやし。『最後の模擬戦』」
「どこがですかっ!私が来たとき、とんでもないことになってたんですから!」


* * *



 それは数時間前のこと。
 シャマルは医務室にいた。
 そんなシャマルに一本の通信が入った。
「はい。シャマルですけど……」
<おーシャマル。今すぐ、桜がいっぱいのあのグラウンドにきてくれへんか〜?>
「え?はやてちゃん?わ、わかったわ。今行きます」
 そして、シャマルは駆け出した。


 そして、シャマルはグラウンドにつき、みえたはやてに声をかけた。
「はやてちゃん……ってきゃあっ!?」
 いきなりの風。
 シャマルが顔をあげると。
「なのはちゃん……エリオ君にヴィータも!?」
 隊長群やフォワード隊が空中で模擬戦をしていた。
「おー、来たな〜シャマル」
「はやてちゃん、これは……?」
「高町隊長言うに『全力全開、最後の模擬戦』らしいで」
「全力全開……って、ええ!?」
「ついでに、私が許可だした」
「ええーっ!?」
 ずばずば言っていくはやてに驚きを隠せないシャマル。
「だから、呼んだんですよ。シャマルさんのこと」
 はやてと一緒にいたギンガが、どうみても苦笑いをする。
「止めないんですか!?」
「せっかく、スバル達の良い思い出になりそうなんですから」
「まあ、もしもがあったら、シャマルよろしく頼むな〜」
「はやてちゃん〜!」


* * *



「あれから、模擬戦は怪我なしで終わりましたけど、でも!」
「あれまでぐっすりやとは思えへんかったわ〜」
 と、いいながらベットを見渡すはやて。
「全力全開って言っていたッスよね、なのは隊長は」
「だからって、あそこまでくたくたにしなくてもよいでしょう!?」
 ため息まじりのヴァイスは「だから、運ぶためにだけによばれたんすから……俺達は……」と、くてる。
「まぁ、あのシグナムさえ寝とるしな」
 くくっ、とまた笑いだすはやて。
「しかし、まぁ」
 ザフィーラがぽつりとはいた。
「よく気持ち良さそうにねているな」
「そうッスね」
「えぇ……」
 ベットの上のなのは、フェイト、シグナム、ヴィータ、スバル、ティアナ、エリオにキャロ。みんな、気持ちよさそうにぐっすりねている。
「スカリエッティの事件のとき、私達が見ていたみんなの寝顔はみたくもないくらいでしたもんね……」
 スカリエッティ事件のとき。
 みんな傷つき、病院内の寝顔は最悪だった。みていられない。とてもくるしい。
「ま、そういうってことは平和になった、っちゅうことや」
 はやての強い光に「ッスね」「はい」とヴァイスとシャマルが同意した。
「にしても、もうこの医務室ともお別れか〜さみしいなぁ」
「誰かさん達のせいで長くいられましたっ!」
 むっ、とシャマルが言うと、笑いがはじけた。
「いやー、ずっとみてたいな〜この幸せそーな寝顔」
「ま、シグナム姐さんの寝顔みれたからいいッスけど」
 いつものしっかりとしたシグナムしかしらないヴァイスはくっくと笑う。
「どうせヴァイスはあれやろ?ティアナの寝顔見れたんやから……」
「なっ!何いってるんスか!」
 顔を赤くしながら抗議するが、はやてにはバレバレだった模様。
 そんな様子をシャマルとザフィーラはほほえましく見ていた。

「シャマル」
「はい?」
「これからも守っていけるといいな」
「――ですね」



 ………おまけ。

「ところで、ザフィーラ?」
「……なんだ」
「アルフさんには連絡している?」
「……」






〜あとがき〜

全力全開後は皆くたくたになるだろうな〜というのが、始まりでした。
また、『皆さんの語り場!』で十兵衛さんの「シャマルさんの物語がみたい。」というカキコミがあったので、灯がつき、かきました。
シャマルさんはどじっ子さんで、でもお母さんみたいで大好きです。
シャマルさん中心ですが、やはり、シャマルさんのまわりはみんながいちゃうんで、自然にオールキャラクターになっていました。
シャマルさんは料理のできる夫と和気あいあいなイメージがあります。
シャマルさんもどこかで恋愛発展しないかな……。
あ!ついでに私はシャマル×ザフィーラ派ではなく、アルフ×ザフィーラ派です。
ザフィーラも漢で大好きです。




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