※注意事項※
 この、なのは短編小説『Lost Heart』には
・女×男
・不完全な成人系を匂わす全年齢
・女側が病んでいる(notグロ)
・男側が上(攻)に周ることがない
・キャラクター崩壊のある表現を含む
・必ずしもハッピーエンドに見える訳ではない(ただ必ずしもバッドエンドに見える訳ではない)
 等の特殊表現があります。


(詳しく説明すると)
 とりあえずヴァイティア……なのですが、かぎりなくティアヴァイ(ティアナ×ヴァイス)です。
 で、ティアさん病んでます。レナちー(@ひぐらし)的なイメージです。病んでいながらヴァイスさんに攻めまくります。
 一方ヴァイスさんは普通です。が……かぎりなく受けです。普通にやられます。
 で、病み系なので微妙に成人系に入りそうで入らない感じです。そんな感じな全年齢までしか読んだことないので、表現めちゃくちゃわかりにくいですが、そんな感じのものは入ってます。
 そして上二つのせいで、成人系扱いされているのはティアさんではなくヴァイスさんです。
 最後は微妙です。頑張ってハッピーエンド……?

 なので、
「曖昧でも成人系は嫌」
「ティアナが病んでいるのは嫌」
「ヴァイスが受けなのは嫌」
「誰が読んでも絶対幸せ派」
 な方、もはや嫌な予感しかしないor少しでもした方は即ブラウザバックしてください。

 なお、読まれた後の被害があったとしても責任は自分で持ってください。

 それでも読んでくださる方は下へ下へどうぞ……――。


















































 気付いたときにはもう、遅かった。
 もう、後戻りなんてできなかった。



Lost Heart



 私は、いつの間にか好きな人がいた。
 ヴァイス・グランセニック。機動六課で出会い、仲良くさせてもらっている、頼れる人だ。
 はじめ、私の彼に対しての好意は「尊敬」だと思っていた。しかし、いつの間にか、それは「一人の異性」として認識していたことに気付いた。
 本当に、いつからだなんて知らない。
 しかし、そのことに気付いたら、もう後戻りなんてできなかった。
 自然に何か考えれば浮かぶのは彼の顔。脳裏に浮かぶ彼の笑顔。空耳は彼の笑い声。たまに感じた彼の優しさ。
 狂っているんじゃないかと思ったこともあった。でも、私の彼への気持ちは終わらなかった。
 欲しい。低い声も。骨張る手も。筋肉のよくついた足も。さばさばした髪も。笑顔も。最後の最後まで。
 いつしかそれは独占欲に変わっていった。
 もちろん、私のような人間と彼が釣り合う訳がない。でも、止めることもできない。
 それは、ひっくり返して戻ることのできなくなった砂時計のようだ。
 私は、クロスミラージュの言葉も、過去とも、これからとも離別してでもそれを掴みたかった。


 ――だから。


 今日、偶然と装った必然で、久しぶりに彼と会った。「ご馳走させてください」とか言って家に呼ぶ。
 彼は「ティアナの飯が食える〜」なんて笑っていた。その笑顔がもう見れなくなるかもしれないけど、今はちゃんと見ておこう。
 そして、時は満ち。自宅に彼がやってきた。適当にくつろいでもらい、私はいつも以上の力をふるった手料理を作る。
 今はその料理をだして彼が食べていた。一口一口にかっと笑うその表情。
 ――その表情を、崩してしまいたい。
 私は、ついに本題にうつった。
「ヴァイスさん」
「んあ?」
 声をかければ口いっぱいに食べている、彼のへらっとした顔。
 そこまでは、いつも同じ。じゃあ、今度は。
「ヴァイスさん、好きです」
「…………え?」
 ぽろ、とスプーンの中身が零れた。続けて見えたのは彼の少し歪んだ笑顔。
「は……?何言ってんだ、おまえ、」
「好きなんです。大好き、ヴァイスさん。もう、貴方以外考えられないくらい」
 反論と同等の言葉はいらない。だって、私は。
「私と、付き合ってください」
 しかし、私の言葉に返事はなかった。……しばらくの沈黙の後、彼の声が聞けた。
「……なんで俺なんだ?」
 その言葉に一瞬息を飲んでしまう。完璧な否定ではない。けれど、肯定でも、ない。
 私はそれでも冷静に答える。
「私はッ貴方が好きなんです」
「でも、おまえの周りにもいるだろ、男は」
「それでも、貴方を愛しています」
「だけど――」
「――もういいです」
 一気に言い、彼の飲む息の音が聞こえた。もうわかった。彼に例えなんといっても、もう私の言葉に頷くわけがないんだ。知っていたんだ、最初から。
 だから。……だから。
「ヴァイスさん。私のモノになってください」
「……あ?」
 そう言うと私はすっと彼の胸の前にいく。顔は俯き隠して。上から聞こえる好きな声は少し低い、心配する声。
「お、い?ティアナ、」
「私に、貴方を奪わせてください」
「は?何言っ――!」
 瞬間、私は構えて、打った。続いてドス、と鈍い音。
「――ッぐ……!?」
 次にはがくり、と私にもたれ掛かるように体を崩してきた。……まぁ当たり前か。正確に狙ってみぞおちを殴ったし。
「か、ッは……はぁッ……」
 耳元で苦しそうな息が聞こえる。先程まで距離のあった憧れの顔が今、自分のゼロ距離にある。
「これから、ヴァイスさんにとってもいいことしますから。……ね?」
 意識を失い、ぐったりとつむった目に、優しく唇を落とした。
 そのまま、彼の体をソファーで持っていく。仰向けにすると両腕を後ろで縛り、足もばたつかないように縛り上げた。
 そして出来上がる。その姿を見て私はすごくうれしくなった。そっと彼の腹筋辺りにのる。しっかりしている体。
 しっとり撫でると小さな声が聞こえた。
「……ぅ…?」
「あ、意識戻りましたか?」
 痛そうに目を一回閉じてから開いていく緑の瞳。光と向き合うその瞳は本当のエメラルドのようで、綺麗。
 このエメラルドも、それ以外も、全部……私のものにしたい。
 一方、彼の方は自分の今の立場に気付いたようだ。
「なッ……何してるッティアナ!?」
「何ってさっき言ったじゃないですか。ヴァイスさんにも私にも、いいことしましょう、って」
「なんだよそれ!?離せ――ッ痛……ッ!?」
 起き上がろうとしたのだろうか。腕の縄が動いた瞬間、擦れて彼の太い腕に赤い跡を残していく。抗うたびに、赤い跡は増えていく。
「ヴァイスさん、もうわかってますでしょう?――抵抗したら痛い目にあうって」
「……ティアナ?」
「もう、私は我慢できません。ヴァイスさん」
「何がッ……ッ……!?」
 わかってもらえないならもういいです。実行すれば、わかってもらえますでしょう?
 私はヴァイスさんの急所に手をのばし、力を入れた。
「――ッ!?……や、……ッぁ!」
 入れた刹那、びっくりしたようだったが、その後も攻め続けると感情を表情に出さないように押さえ込もうとしているようだった。
「やめ、や、ぁッ……いッ……!」
 ヴァイスさんの弱いところなんて知ってる。知りきってるもの。
 ギリギリと集中して攻める。そのために押さえ込もうとするが歯の間を抜けてくる彼の声。その声に何故か私はうれしくなる。
「ッティ、アナ、やめッろッ……ぁくッ…テ、」
「ヴァイスさんのそういう声も好きですけど。けど……ちょっと、抵抗しすぎじゃないです、かッ?」
 最後、一気に指に力を入れる。瞬間、「いッ――ッ!!」と声にならぬ声をかぎりなく叫んだ。
 それでも力を入れた。後ろ髪をひかれる気も、何も、もう。
 ヴァイスさんから漏れる声がだんだん悲鳴じみてきた声――悲鳴なの?声なの?それさえもわからないよ、ヴァイスさん――になってきた。そろそろ彼も限界なのだろう。私はより力を入れる。
 最後の最後、その瞬間。ヴァイスさんは目を見開き、――ほんの一瞬、私を視界に捕らえて、喉の奥まで穴を開けた。
「ティア、ナ……ッ!――ッあぁぁぁあ!!」
 ガン、と。声とともにそられた背は次にはがくりと沈んだ。
 落ち着かせるように大きく息をついている。強く閉じられた目からは一筋のナミ、ダ、が……?
「――……え?」
 はっとした。動けなくなる。先程まで失っていた理性が戻ってくる。
 な、に……なんで、私、ヴァイスさんの上に……なんで涙が、え――
「――――!!」
 そこまで入って、自分が何をやったか一瞬にしてわかった。
 理性が反射的に自分を突き動かす。彼の体から勢いよく離れると自分の頭を強くしめる。
 何してるの私は!?なんでっ……私……ッ!
 そのとき。弱々しい声が部屋に響く。
「てぃ、あ、な……」
 はっとして振り向く。そこには、何故か優しく……いつもの笑顔の彼の顔があった。
 そして、荒い息とともに、のびてくる、手。
「駄目、です……」
「……てぃ、ぁ、」
「駄目……来ない、でください……」
 がたがたと体が震える。言葉を出すのもつらい。彼の笑顔を見るのは、もっと。
 けれど。
「……、てぃあ、な」
 その手は私の頬をゆっくりと撫でた。上から下に優しく動かしてくる大きな手。そして、その手の後に感じる、水分が熱にあたりかわく感覚。
「……っ、う……、ごめ……なさ……っ」
 ――ああ、なんで私が泣いているんだろう。泣いていいのは、私じゃないはずなのに。その権利は、この頬のあたたかみを与えてくれているこの人に与えられているはずなのに。
 ホラ、今間近にある縛られたがっしりとした腕には無数の赤い跡。痛いはずなのに。なのに。
「………泣く、な。ティアナ……」
 弱々しい、けどはっきりと呼ばれた自分の名前。
 彼はまた動き、跡を自ら付けてでも私をそっと抱きしめてくる。縄のせいで隙間がありすぎて、けれど、感じるのは、優しい温もり。
「ごめ、なさ……っ、あ……うああぁっ……」
 もう、頭の中がぐちゃぐちゃになっている。どうしようもなく、胸が苦しい。涙が溢れる。
「……ティアナ――」
 今、ここにあるのは微かな、つらすぎる温もり。ただそれだけだった。


 なんでこんなことしたんだろう。得るものなんてない、失うことしかないのに。
 私が失ったのは、何?



―END―





〜あとがき〜
 なーんーでこうなるんかなー。完璧にヴァイスさんもティアさんも違和感ありあり。てかヴァイスさんに逆に焦った。しかもあんまり知識ないので表現技法あってるかさえわかりません。やっぱり勢いで書くのはあかんのな。
 はじめ、ほんとはヴァイスさん攻めでした。けどレナちー(@ひぐらし)もあったのでイメージとしてティアさんに。もしかしたら自分が女ということがあってかもですが。
 この二人がこの後どうなるかはわかりません。読んでくださったあなたに託します。




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