機動六課。
その裏にある一面緑のグラウンド。
「はっ……やぁっ!」
そのグラウンドをオレンジの閃光がかける。
「この……っ!」
激しい息遣い。
目の前の光が強く輝く。
その光に閃光となっていた人物は自分の銃をかまえ。
「シュート!」
オレンジの銃弾が発射される。
すると、爆風とともに目の前にあった光は吹き飛び、消えた。
もう一度の決意
「……ふぅ」
ゆっくりと速度をおとし、立ち止まる。
「……今日は、OKかな?」
苦笑しながら目の前に先程撃っていた銃をもってきると。
<All right, master>
少し笑って相手に答えた。
「や〜熱心っスね、ティアナは」
「あ……」
ぱちぱち、と、拍手しながら近づいてくる一人の男性。
その姿をみて――ティアナは。
「ヴァイス、さん」
相手の名前を呼んだ。
「はい、どうぞ」
「ん。サンキュっス」
あれから、ヴァイスとティアナは立ち話もなんだと場所をヴァイスのヘリコプターの前に移し、座って話しをしようと言うことになった。
ティアナは、飲み物を買ってきてヴァイスにわたす。
座っているヴァイスの隣にティアナは座ると相手の顔をのぞきこんで少し声をおとしながら話しかける。
「大丈夫なんですか?身体は……?」
「おぅ、まあな」
そう言うと「なんたって、あのシャマルさんの看護だからな〜」と、笑って話を続けた。
「そう……ですか」
ティアナは微笑しながら、自分の飲み物に口をつけた。
「あ、そうそう」
「はい?」
「さっきのティアナ……よかったっスよ」
こっちをむいて笑って言われ「え……」と、ティアナは顔を少し赤く染めうつむいた。
「いや、瞬発力とか、狙いとか……確実に強くなってるっスね」
「ありがとう……ございます」
――ほめられた……。
ティアナはコップをもちながらうれしはずかしな気持ちになった。
そんなティアナにもう一声、かかった。
<Master……>
ティアナの愛機――クロスミラージュ。
「どうしたの?」
ティアナは素な反応をしてしまった。
<……>
その反応にクロスミラージュは聞こえないため息をついた、気がする。
「あぁ、クロスミラージュか」
<……Good afternoon>
ヴァイスへのとりあえずの挨拶もなんとなくニュアンスが違う、気がする。
「どうだ?最近のティアナは?」
<……Soso>
「そうなの?うわぁ、残念だな……」
どうしても不機嫌なニュアンスなクロスミラージュに、なんか楽しそうにしゃべってるヴァイスとティアナ。
たえきれなくなったクロスミラージュは<Master>彼女をと呼んだ。
「だから、何?」
<……JS>
「……あ」
JS――スカリエッティ事件。
そう、あのとき、自分は3対1で、足は怪我していて、絶対絶命で……
――あの、緑色の光弾、が。
私を、ティアナを、助けた。
のちに私がスバルとゆりかごに入るときも、助けてくれた。
あのとき、あんな真剣な顔で。
あなたが――私を、助けてくれたんだって、きづいて。
――そうか。
ふと、クロスミラージュをみると<All right>と、大丈夫と小声で返してくれた。
「あの、ヴァイスさん」
「ん?何?ティアナ」
すると、すくっと立ち上がって。
「あのときは……ありがとうございました……っ!」
深く頭をさげた。
「……は?」
ヴァイスはいきなり頭をさげられて、目を丸くしていた。
「え?あ、えっと……?」
慌てるヴァイスは「とりあえず頭はあげろ」といって、再び座らせた。
「あの、さ。ティアナ?」
何が?という顔をしている。
ティアナは顔を赤く染めながら、さっきの大声は恥ずかしくて裏がえった、というように、ぼそりとつぶやいた。
「……スカリエッティ事件のとき、です……っ」
「……あ」
するとさっきのティアナと同じような言葉をもらした。
「あ……いや、な…あ〜、と……」
――そう、赤く染めながら言われると、調子が……。
くるったヴァイスは変に声をだしながら返す言葉をさがした。
<No thank you>
「え!?」
「うぉっ!?」
いきなりの「どういたしまして」に二人は飛び上がる。
「ス、ストームレイダー!?」
急いで胸元からタグ――ストームレイダーをとりだすと<Yes>と肯定がかえってきた。
「いきなりびっくりさせるなよ〜。まったく」
<Sorry>
どう聞いてもしっかりあやまってないのだが。
「あぁ、そうだよね。ストームレイダーもありがとう」
ティアナが笑ってストームレイダーに感謝すると<Nothank you>ともう一度かえってきた。
「そうだな――俺も、どういたしまして、かな?」
「そうですか?」
そういうと二人と二機は笑った。
実際。
俺はあのとき、もう一度、護りたいって思った。
彼女を、世界を。
だから、再び銃をかまえた。
もう二度と同じ過ちはくりかえさない。
もう二度と、くやみたくなんかないんだ――。
そして。
「ティアナ」
「はい?」
「俺、もう一度、魔動師になろうと思うんだ」
「ぇ?」
「もう一度……こいつ、ストームレイダーを銃として相棒にしたいんだ」
「……いいんじゃ、ないですか?」
「まぁ、そうなっと一からやりなおしなんだけどな。それもいいかな、ってな」
「……じゃあ、私が教導しましょうか?」
「ば、馬鹿にすんなよ!」
「……ふふっ」
「……あはは…っ」
その決意の源が君だと。
その力で護りたいのは君だと。
その頃の彼女はまだ、知らなかった。
〜あとがき〜
初めてのなのは短編小説になりました。
今回のカップリングは、私の一番好きなヴァイスさん×ティアナさんに、なりました。
ヴァイスさんもティアナさんもお互い、機動六課のときから好きだったと思いますよ。
でも、ヴァイスさんは「ティアナの夢、執務官になるまでこの気持ちはふせておこう」と思い、伝えないのですよ。
けれど、彼女の力になりたい。
だから、ヴァイスさんは再び魔動師になろうって決意するのです。
そんな切なさが、私の心を、こう…ぐっとさせるんです。
また、こんなお話をかくかな、と思いますが。
読んでくださり、ありがとうございましたッ!
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