11.5
「…元気に、してっかな。」
「…。」
オレはそう呟いて、入り口から見える豪雪を見やった。
勿論一人でこんなところにはこない。…そこには、オレの幼馴染であるレッドが、住み着いてる。
最初に、ゴールドがレッドを見つけてくれたときは思わずひやりとしたもんだ。
それからオレはすぐにシロガネ山に登って、殴った。
当たり前だ。3年も音信不通とかお前ふざけてんのか、食事は、身体は、と。
色々言いたくなる。…その時にはもう既に、ライラとも連絡が取れなくなっていたから。
レッドは、随分音信不通だったが…生きていてくれてよかったと、思う。
…ライラは、どこにいっちまったんだろうな。
「…グリーン。」
「何だよ。」
「…行こう。水タイプに会って、泣いてるかもしれない。」
「お前、それはここを出てくってのと一緒だぞ。…いいのか?」
「…。それでも。大事な、幼馴染だから。」
素直に俺は驚いた。…まさかこいつが自主的に、このシロガネ山から離れるなんて。
滅多にないこの機会だ、そのまま話を聞いておこうか。
「そう、だな。オレも本当に心配だし…。お前ほどじゃねぇが、1ヶ月、連絡がこねぇ。
…けどよ、心当たりでもあんのか?」
「…。俺はここら辺以外は詳しくない。水タイプがあんまりいなさそうな場所、分からない?」
「水タイプのいなさそうな場所ねぇ。」
ジムリーダーを勤めているオレだ、色んな地方のリーダーにも会うことがある。
それがホウエンだろうと、シンオウだろうと…イッシュ、だろうと。
…あ。
「イッシュ地方…。そこは、確か炎タイプのポケモンが多くて、水タイプが住み辛いんじゃねぇか、とか前に聞いたな。」
「ならそこだね。ライラが調べてないはずない。…いくよ。」
「いやオレは今ジムがだなぁ!」
「心配じゃないの。」
…そりゃ心配だよ。お前だけを行かせるのもな!
…オレも勿論、心配だ。…よし。
「じゃあもうちょいここで待ってろ。ちっとだけ準備済ませてくるからよ。」
「待てない。俺はいくよ、リザードンで。」
「待て待て待て!イッシュは外国だ、ここから船でも結構かかんだよ!!」
「…知らない。」
「だぁから!その準備をしてくるっつってんだ!いいからここでちょっと待ってろ!!」
「…。わかった。なるべく早くね。」
ホントいつも猪突猛進だな!まぁそれに相応しい実力とかも持ってるからムカツクが!
…とりあえずレッドも納得してくれたようだし、ひとまずオレはシロガネ山を下山した。
…ジムリーダーの代わりはあいつに頼むか。…一応、オレたちと同じ幼馴染だし、やつの強さも申し分ない。
トレーナーも実力は知ってるから大丈夫だろう。
…後はワタルさんに許可貰って…はぁ、レッドも気が長い方じゃないからな…急いで済ませちまおう。
待ってろよ、ライラ。
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幼馴染2人の話。
まぁカントー出身という時点でわかりやすかったですかね。
2人は決して水タイプが苦手になったという事実を知りません。あくまで、その場に居合わせた時の推測です。
その話はまたいずれ。
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