夢見 | ナノ
その声が、愛しい





なんでもないこの日に、君がいるのが当たり前で。

穏やかになれる、なんて。俺の柄じゃないけれど。


「…レッドー。おーい、レッド?」


俺を呼びかける、ライラの声。

その声を聞くたびに、眠たくなる。

それくらい、俺にとってはきっと安心する声。


「ちょっと、レッド?聞いてる?というか、起きてる?」


可愛く俺の顔を覗き込むライラの手を、俺の方へ思い切り引っ張る。

案の定、驚いたライラは力の方向に従って俺の上に落ちてくる。

その重みすら、愛しくて。


「っ、もう、何してるのよレッド。」

「…つい。」

「つい、じゃないわよもう。ほら、もうすぐご飯出来るから!」

「…もう、少し。」


俺の大好きな味付けで振舞ってくれるライラの料理はそれはもう絶品で。

今すぐにでも味わいたいけど。

でも、今は少しだけ、ライラの温もりを感じていたかった。

…らしくない。なんて、ライラは思うかな。


「…なんか、ね。レッドが甘えてくるのって久しぶり、かも。」

「…そう?」

「うん。…まぁ、ちゃんと料理も味わってもらいたいし。…少しだけ、ね。」


少しばかりの溜め息をつきながら、それでも笑顔で俺を甘やかしてくれる。

…確かに、柄じゃない。

いつも甘えてくるのは、ライラの方が先だから。


「ねぇ、レッド。」

「何?」

「…私は幸せだよ。…こうして一緒にいられるんだもん。…レッド、は?」

「…ライラの声を聞いてると、眠たくなる。」

「え、それは…」

「心地良くて…いつまでも聞いていたくなる。」

「…、レッド。」


素直にそう吐き出せば、ライラは顔を真っ赤にして俺の胸に顔を埋める。

…?あんまりそう、可愛いことされると…ちょっと、まずい。

いや、しないけど。

…可愛いな。ライラ


「わっ、ちょ、レッド?」

「可愛いから。キス、したくなった。」

「も、もう!…ね、もう、いいでしょ?ご飯、食べよ!」

「…ん。」


名残惜しいけれど、ご飯も食べたい。

俺はライラを離してから、リビングに向かった。

ふと前を向けば、ライラが俺を見ていた。


「レッド。…私も、一緒にいられて幸せだよ!」


そういうとライラは滅多に自分からしないキスを俺にくれた。

あぁ、うん。


しあわせだ。


End


幸せですよね、こういう風景。

戻る TOPへ



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -