ハロウィン−グリーン編−
「トリックオアトリート!」
という声と共に、いきなり私の目の前に現れるのはグリーン。
…ジムはどうしたよ、ジムは!
「…グリーン、ジムは?」
「ん?今日は休みだ休み。で、ライラ。トリックオアトリート!」
ん、と手を出すグリーンに、私はため息をつく。
…毎度のことながら、まぁねだる姿が可愛いから許してあげようかな。
「…休みねぇ。まぁいいわ。はい、どーぞ。」
「おう、ありがとよーって、飴1つかよ!?」
「え?まだほしいの?」
「お前なぁ、毎年作ってるアレはどうしたんだよ!」
とはいえ、まぁちょっと傲慢だったので意地悪をしてみる。
グリーンって本当にわめくの得意だよねぇ。
…少し意地悪だったかな?でもま、グリーンだし。
「まぁ、冗談は程ほどにしといて。はい、お待ちかねのケーキ!」
「んだよ、ちゃんと持ってきてんじゃねーか!…あんがとよ。」
「はいはい、まぁ毎年作ってるからね。おすそわけ程度で申し訳ないけど。」
「いや、ありがてーよ。サンキュな!」
ニカッと笑ってお礼を言ってくれるグリーンに、ほんの少しだけ目を見開く。
…いや、キュンとしたわけでは、…、うん、ある。
仕方ない、ずっと隠してる心の内だし。…こうしてるのが楽しいから、っていうのもあるけどね。
「あ、そーだ。じゃあグリーン。」
「ん?」
「トリックオアトリート!」
「…なんだ、オレにお菓子ねだろうってか?」
「たまにはいいでしょ、私いつも言ってないし。」
「まーな。…でもそうだなぁ…トリック、オアトリート、だしな。」
「…何その意味深な途切れさせ方。」
「深い意味はねーよ。…そうだな、ちょっとこい。」
「…?いいけど。」
ちょいちょい、と手招きをしてくるので、ひとまず距離を詰める。
…この上なく近いけど…まだ来いと?
相変わらずこいこいと手招きするグリーンとは、少し上に顔を上げないと顔が見えづらい位置までの距離だ。
…まだ?
「まぁこんなもんかな。」
「で、何でこんなに近い距離?」
「そりゃあ…こうするため。」
目を隠され、突然のことに固まっていると。
ちゅ、とリップ音がなり、柔らかい何かが私の口に当たる。
…、は?
「…無反応はかなしーぞー。」
「いや、えぇ、だって、」
「ぷっ、顔真っ赤だなーライラ。そんなに驚いたか?」
「そ、そりゃ驚く、というか…一体、何で、」
「ま、これがトリックオアトリートの返事ってことで。
…冗談ですますつもりは、ないけどな?」
その時見たグリーンの顔は、今まで見たことないくらいのかっこよさで。
私はまた固まることとなるのであった…。
「で、返事は?」
「…」
悔しいから返してやんない!
End
少しはかっこよくなってもらいたいものですねえ。
いやこれが精一杯。最後だけかっこよく!…ね!←
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