好きじゃない、なんて言っても
「好きじゃないです、なので離れてくださいませんか。」
「嫌でございます。ワタクシが好きだから、ここまで来られたのでしょう?」
「違います、スーパーシングルトレインに挑戦しにきただけです!」
そうは言っても、つい先日も貴女様はこのスーパーシングルトレインにご乗車なさいました。
思えば、ここ最近毎日ご乗車されているとワタクシは認識しております。
ライラ様はダブルバトルも、2人1組のマルチバトルも、何でもこなせるお方。
それが、毎日ワタクシの待つシングルトレインにご乗車なさるのであれば、少しは期待しても良いのではないでしょうか。
終着駅に着く間は、こうしてお話するのですが…最近、どうもライラ様はワタクシに冷たく当たるような気が致します。
まぁ、そんな態度ですら、照れ隠しであると思っておりますが。
なぜなら、ライラ様のお顔がとても紅潮なさっているからです。
実に可愛らしいお姿に、ワタクシは胸が熱くなる想いでございます。
「では、最近ほぼ毎日スーパーシングルトレインにお乗りになるのは…?」
「単純に、趣味パで挑戦っていうのと!ガチパでどれだけいけるかっていう試みの為です!」
「そうでございますか。しかし、ここ数日は同じパーティだった気が致しますが…?」
そうワタクシが言いますと、ライラ様は真っ赤な顔で、「う、でも、私は!」とつっかえながらもワタクシに言葉を返します。
そんな貴女様も可愛らしいですよ?
「――――と、とにかく!私はそういう意味で好きなんじゃなくって!」
「はい、そうでございますね。しかしワタクシは貴女様をお慕いしております。」
「な、」
「ですから、ワタクシは貴女様をこの腕に抱いております。…ライラ様、お嫌でしたら、どうぞこの腕を振り払ってくださいまし。」
「、そ、そんなの出来るわけ、ないじゃないですか…」
そう言ってしおらしくなるライラ様は、そのままワタクシの腕にそのままお残りになりました。
あぁ、しかしそろそろ終着駅でございます…。名残惜しゅうございますね。
それを悟ったのか、ライラ様も自然とワタクシから1、2歩下がってしまいます。
「…、好き、だなんていえるわけないでしょ…!恥ずかしいし!」
「?何か仰いましたか?」
「っ!な、何でもないです!それではまた来ます、ので!!」
ライラ様は駆け足でドアから飛び出し、去っていかれました。
…あぁ、ワタクシこの後のお仕事がとても身に入らないかもしれません。
好きじゃない、なんて言っても、あの態度を見れば一目瞭然。
「…いつか、貴女様から好き、という言葉が聞けると良いのですが。」
ライラ様が降りた先を見つめながら、また来るであろう彼女を待つため、その場に残ります。
…あぁ、早く、ワタクシの元においでくださいまし!ライラ様!
End
ツンデレっぽい主人公と、何もかも見透かしてるっぽいノボリさん。
たまにはこんなお話も。
お題で、微妙な19のお題様よりお借りいたしました。
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