お仕事は監視!?
今日も今日とて駅員のお仕事。
それは勿論、私自身が選んだ道であって決して後悔はしない。
むしろ、この職業に就けたことを誇りに思えるくらい。
「さぁ、今日もお客様にご満足いただけるように!
全力全身!出発進行ー!!」
毎回の朝礼も慣れたものだ。
鉄道員として気の引き締まる思いではあるのだけれど、相変わらずテンションが高い。
…正直低血圧な私にとってはそのテンションの高さはついていけないけれど。
ここのボス達も基本的には優しくしてくれるので、物凄く嬉しい。
上司に恵まれる仕事環境万歳だよね。
…ちょっとついてけない時もあるけど。
「今日もボスは全力ですねー。」
「まぁそれがボスだしなぁ。」
仲の良い駅員さんが私の呟きに反応してくれる。
うん、まぁあれがボスの通常テンションだもんなー。
「…ライラ、すみませんが今日はこちらを手伝っていただけませんか?」
「っ!?ボ、ボス!」
「驚かせてしまい申し訳ありません。…よろしいですか?」
「あ、はい。どうぞもってってください!」
「ちょ、」
「どうせ今日は人数割と足りてるし、1人くらいなら平気だって。ほらいってこいって!」
「…まぁ、私はいいんですけど…私でいいんですか、ボス?」
「えぇ、むしろ貴女にしか出来ないことかもしれません…ひとまずこちらへ。」
そう言ってボス…ノボリさんは、私の手を引いて歩き出す。
このボスのスキンシップはどうにかならないものか…クダリさんほどじゃないけれど。
あの人は隙あらば抱きついてくるからなぁ。…なんでだろう?
そうこう思っているうちに、目的地にたどり着いたみたいで。
…執務室…って、ボスたちが書類整理してる場所だよなぁ。
ん?ということは…
「…どうされました?ライラ。」
「いえ、何故ここに?と思いまして。」
「…中に入ればお分かりいただけるかと…。」
はぁ、とため息をつくボスは、そのままドアを開ける。
すると中には死んだように眠るもう1人のボスであるクダリさんがそこにはいた。
…大量の書類を積み重ねてるから正直クダリさんの顔は見えない。
「…あの、ボス。これは一体…?」
「見ての通り、クダリは書類を溜め込みすぎてここ2日ほどここに籠りきりなのです。」
「…あぁ、まぁなんとなくそれは予想できましたけど…私には書類整理は出来ないと思うのですが。」
「いえ、ライラにそのようなことはさせません。…ただ、クダリに一言、声をかけてほしいのでございます。」
あのクダリさんがまさか私の言葉で動くはずはないのだけれど、あまりに顔が必死なので(いつもの3割増で無表情が怖くなってる)、ひとまず声をかけることに。
…しかし、起きてくださいじゃあ味気ないよなぁ。
「あぁ、そうそう。こう申していただければきっとやる気が湧き上がるはずです。」
ごにょ、と耳で聞いた言葉に私は思わず絶句する。
…え、クダリさん女の子にこういうこと言わせてるのかな、いやまさか…。
しかしボスの言うことなら絶対そうなのだろう。彼らは双子だし、大体のことはわかるだろうし。
意を決して、私はクダリさんの耳元で囁く。
「…早く起きて仕事終わらせないと、私と喋れなくなりますよ?」
「…!?やだ!絶対やだ!」
「…ほんとに起きた。」
「そうでございましょう。何せクダリは、」
「ノボリそれ言ったらダメ!ボクから直接言うの!」
「そうですか、ではクダリ、それらを今日中に終わらせてください。ライラはここにいさせますので。」
「え、私終わるまでここにいるんですか?」
「そうなの!ならボク頑張る!」
「ではクダリ、書類を片付けてくださいまし。…ライラ、申し訳ありませんが、ひとまずお昼まではここにいてくださいまし。後ほどお昼をこちらに持って参りますので。」
あれよあれよという間に私がここにいることに決まってしまい、私はただそれに従うしかないことに気づく。
まぁボスの命令だし、従うは従うけど…これで給料貰って良いのだろうか。
「…えぇと、私はここにいれば良いのでしょうか?」
「そうでございます。…退屈やもしれませぬが、クダリは貴女様がいればすこぶる働くので。
勝手ではございますが、よろしくお願い致します。」
「はぁ、わかりました。」
こうして、クダリさんと私のみを残して、ノボリさんは執務室のドアを開けた。
…私どうすればいいんだろう。
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続いちゃった。
クダリ夢なはずなのにノボリさんがでしゃばってるっていうね。
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