涙には弱い
「なぁ、ライラ?」
話しかけられるが、私はひたすら無視だ。
ご立腹であることはグリーンもわかってるはずだ。
一応私たちは付き合っているのであって、女の子と2人で出かけてるのを見かけたらそりゃあ不安にもなるわけで。
あの顔だ、モテるのはわかるから別に周りに女の子が群がるのは構わない。
それすら束縛してしまったら、なんだか重たい女だと思われるだろうし。
ただ。
「(デパートで、物凄く距離が近くて、仲睦まじく2人でお買い物してるのはちょっと…ね!)」
これがジムトレさんだったらまだいい。買出しとかで行かなければならない時もあるのは知ってるから。
それをリーダーが選別していくとか、そういう時もあるのを知ってるから、そこもつっこみはしない。
…ほんと、誰。イライラしてしょうがない。
逃げたい気持ちでいっぱいだが、肩を掴まれて逃げることは叶わない。
…がっしり掴まれてるから、振りほどこうとしても無理だった。から、こうして下向いて無視してるのだけど。
「勘違いしてねぇか?あれは困ってた奴を助けてただけだぜ?」
「…」
「んで、場所も全然わからねぇっていうから案内して、探してるものが割と多かったから手伝った。」
「…」
「…初対面だぜ?連絡先なんて知らねぇし、会う予定なんかない奴だぞ?」
どれをとっても言い訳にしか聞こえなくて、耳を塞ぐ。
たとえそれが本当だったとしても、今の私にはどうにも許せそうになかった。
勿論、グリーンに他意なんてないと、思うけど。
「…ライラ、」
「も、いいから、今は聞きたくないだけ、またあとで、」
「…あー…うん、悪かったって。」
「いいって、言ってるでしょ、」
「悪かった。」
「別に、助けることは悪くない、でも、それを見ちゃったから、」
あぁ自分が嫌になる。こんなにグリーンは優しいのに私は素直になれない。
私が悪い、こんなに嫉妬してしまう私が、とても嫌だ。
何でこんなことも許せないんだろう。顔を上げればグリーンの眉を寄せた顔が見えた。
原因はその隣にいた女の子のせいもあるのだろうけれど。(だって頬染めてにっこり笑って惚れちゃったオーラ出てた)
「…ライラはいつも我慢してくれてんのにな。」
「、ちがう、私が」
「こんなオレだけど、まだまだ付き合ってくれるか?」
今度は眉をハの字にして、悲しそうな顔でこちらを見る。
そんな顔しないで、私だってグリーンのこと好きなんだから。
「っ、う、んっ、ごめん、ねぐりー、」
「あーほら泣くなって!ほら、帰ろうぜ。」
「、ん!」
ぐしぐしと袖で拭かれ、痛いと言えばグリーンは笑って「悪ぃ悪ぃ!」と言う。
でも、笑顔だから私も笑顔になる。現金だな、と我ながら思ってしまった。
End
カッコいいグリーンさん目指したはずだった。
あれおかしいな、女の子がこんなに嫉妬する話じゃなかったのに…?
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