2月22日〜マツバの場合〜
「…何、これ。」
朝、目覚めると頭に違和感を感じると思ったら。
ふにふにの、手触りが非常によろしい、獣らしき耳がついていた。
「…。何で…」
「それは僕がつけたからだよ、ライラ。」
「…、マツバさん…何をしてるんですか…。」
「趣味?」
「そんな趣味はいらないですし、つけないでくださいよ…」
「冗談だよ。今日が特別だからつけただけ。」
「…特別?」
はて、今日は何月何日だっただろうか。
暦上では、2月の…22日?
…それが、なんでこんな獣のような耳をつけることになるんだろうか…。
…よく触れば、多分形的には猫耳だろう。三角形の耳といえば、多分猫だ。
…犬もそうだけど、こんなふさふさな耳もなかなかないのではないだろうか。
それにしても、さっぱりわからない。特別って、何かあったっけ…。私とマツバさんが付き合い始めた日でもないし…。
「その顔は、わからないって顔だね。」
「…はい。何ですか一体?」
「この猫耳を見て、何か思い当たらないかい?」
「え、この耳って…猫耳?」
あ、やっぱり猫耳で合ってたんだ。
…猫耳ねぇ。
猫耳…猫…にゃー、ごろにゃー、にゃん…にゃん。
…あ、2月22日ってひょっとして…猫の日とでも言いたいのかな?
「…マツバさんにそんな趣味があったなんて…。」
「意外かい?」
「…まぁ。もう少し健全な趣向なのかと思ってました。」
「さりげなくひどいね、ライラ。」
肩をすくめて笑いつつ、マツバさんは私の頭を撫でる。
…何かくすぐったい…。こういうのをつけているからだろうか。
いやいや、私まだ全景見てないし。一体どういうのをつけたんだろう?
「あの、マツバさん。どういうのをつけたんですか?」
「ん?あぁ、ピンで留められる猫耳だよ。」
見る?といわれ、まぁとりあえず見てみようと、マツバさんがかざしてくれる手鏡を覗き見る。
…確かに、カチューシャではなく、髪留め用のピンで留めるタイプの猫耳のようで。
物は可愛い。けど、私に似合ってるかどうかといったら…微妙に似合わない気がするんだけど。
それでも、マツバさんは満足のようでニコニコしながら私の頭を撫で続ける。
「…それで、私はいつまでこれをつけてればいいんですか?」
「それは…もちろん、今日という日が終わるまで。」
「こんな耳つけてちゃ、外出できないんですけど…。」
「良いじゃないか、今日は1日中僕のそばにいればいいよ。まぁ…行かせる気もないんだけどね?」
ニコリ、ではなくニヤリ、とした顔になりつつあるマツバさんに逆らうなんてことはしない。
どの道今日はマツバさんの家にお泊りをしにきているのだから、まぁ出かけなくてもいいんだけれど。
…とはいえ、家の中にずっといるのも暇で仕方がない。…マツバさんはかまってくれるけど、何かやらしい方向へと変えていくから対処に困る。
だからたまには外に出たいと思っていたのだけれど。
「…わかりました、まぁそれはいいんですけど…何しましょう?」
「そうだね、今日はとりあえず寝ようか。」
「今から寝るんですか。さっき起きたばかりなんですけど…」
「たまには二度寝もありだろう?気持ち良いし。」
「…そうですねえ。まぁ、たまには。」
ボフッと布団に身体を再び預ける。寝起きだったので、目を瞑ればまた眠くなっていく。
いつの間にか腕を頭の下に置かれていて、腕枕をされている状態だった。
まぁ、何もしないなら…いい、かな…。
「一旦、おやすみライラ。」
「…おやすみ、なさい…マツバさん。」
そう言った後、すぐに私の意識は奥に追いやられた。
「…可愛いね、ライラ。僕が本当にこの後何もしないとでも思っているのかな?」
「…スー…」
「ふふ。後はこの尻尾もつけて…より僕を楽しませてくれるんだろうな。…起きたら、楽しみにしてるよ、ライラ?」
その後、何をしたかって?
…それは、僕とライラとの間の、秘密だよ。
End
さて何があったのか、それはもちろん裏的な意味です。
どんなことをされたかはご想像にお任せで…妄想しちゃってください。
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