夢見 | ナノ
2月22日〜トウヤの場合〜




「さぁ、負けたんだから素直にこれをつけてよね、ライラ。」

「…ていうか、何で私、チャンピオンのトウヤの勝負を受けちゃったんだろう…。」


いや、元はといえばトウヤがいきなり「バトルしよう」とか言い出すから…!

トレーナーとしては勝負を挑まれたら逃げたくないし出来るなら勝ちたいし!!

とはいえそんな賭け事がなされていたなんて私は知らないし!!!


「私、賭け事は承諾してないんだけど!?」

「俺に勝ってれば、これも破棄だったんだけどね。」

「だからって!っていうかチャンピオンのくせに卑怯だー!!」

「なんとでも。そうでもしないということ聞かないでしょ?ライラの場合。」

「うっ…まぁ、あんまりいうこと聞かないというか、無理難題押し付けるから…。」


そう、トウヤは私に無理難題ばっかりを押し付けるというか言うというか。

…恋人なんだから、ある程度の我儘を許すとか、甘えるとか、そういうものなんだろうけど…私はどうもそれが理解できない。

恋人、と言われて想像できることがあまりにも拙いことくらい私自身がわかってる。

例えば…そう、キスする、とか、あ、愛し合う、とか…ね?

やっぱり思春期だもの、そういうことは気になるの!…恥ずかしい、けどさ。

だから、そういうことも含めて色々慣れよう、頑張ろうってことでこういうことをしたのかなとは思うけど…。

でも!だからって猫耳と尻尾はないと思う!!


「折角こい…びと、っていう関係も慣れてきたのに…!」

「だから、さらになれてもらおうっていう心遣いに感謝の言葉もないわけ?」

「これはっ!私でもわかるけど絶対に何か違うと思うの!」


かといって、ここはトウヤの部屋。逃げれる場所もない。

ちなみに、戦った場所はカノコタウンの近くだったので…うん、負けたら即行で部屋に連れてかれた。

そして現在のこの状況、…ベッドの端に追いやられ、猫耳と尻尾をつけろ、と脅されてるわけです。

…全く、トウヤの頭の中はどうなってるんだろう。


「…ライラ?俺に逆らうの?」

「…、でも、やっぱり…抵抗は、あるんだよね…。」


なんだかそういう、い、いか、いかがわしいことに繋がるような感じがして…。

いや、まぁトウヤはきっとそういう意味でやるわけではないと思ってるけど!

って、そういうこと考えてる私がダメなのかな!?


「…ね、ライラ。別につけるだけ、だなんていってないよ?」

「へ?」

「もちろん、そのままヤる。」

「や!?」


なんてことを…!ま、まだキスだって慣れない、のに…!

そうこういわずに、とりあえずつけろといわんばかりに押し付けられ。

仕方なく、私はそれを装着した。

…尻尾…動くんだ。何か不規則に、うにうに動いてる。

耳もつけて、これで一応、トウヤの言うことは完了…の、はずなんだけど。

さっきの言葉をそのまま言うなら、その、ヤら、れる…つまり、えっと…

あぁ!言葉にするのが恥ずかしいだなんて子供か…!子供だけど!


「よくできました、ライラ。じゃあ次ね。」

「まだ何かあるの…」

「そういわずに。…つか、来い。」

「…はい。」


あぁ、こういうトウヤには逆らえません。というか、逆らう気にもなれません。

…これも惚れた弱みとかいうやつなのかな…。

とりあえずトウヤが示す場所、まぁ足の間なんだけど、そこに移動する。

ぎゅ、とされて、耳にキスを落とされた。


「…くすぐったい、トウヤ。」

「…ま、ライラにしては頑張ったかな。今日はここまでにしてあげる。それもつけてくれたし。」

「結局、これに何の意味があるの?」

「あぁ、知らなかった?一部の人の間では、2月22日って猫の日って決めてる人がいるみたいだよ。」

「…ねこのひ。」

「そうそう。で、まぁそれが、2が続くから、にゃん、にゃん、にゃんってことで猫の日。」

「…。それで、これをつけてほしい、と。」

「そういうこと。」


その理由に、私は呆れざるを得なかった。

…トウヤって意外と…変態…


「ま、たまにはそういうイベントごとみたいなのに乗ってもいいかなと思って。…可愛いライラが見れたから、俺は満足だよ。」

「…、トウヤが、満足してるなら…まぁ、いいか。」

「まぁ出来ればシタいところだけどね。今年は許してあげる。」

「…そのまま来年は忘れてください…」


どこまで変態なんだトウヤ…と思いつつも、笑顔でいるトウヤを見るとまぁいいかな、なんて思ってしまう私だった。


End


トウヤの久々夢がにゃんこの日って。

いや、いいんですけど。

Sっ気のあるトウヤが大好きです。

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