夢見 | ナノ
2月22日〜ゴールドの場合〜




「ライラさん、どもっス。」

「あ、ゴールド君。珍しいね、私の家にくるなんて。」

「まぁ、今日はちょっとした用事で来ました。あがってもいいっスか?」

「うん、いいよ。どうぞー。」


突然の訪問に驚きつつも、ゴールド君を部屋に通す。

お茶も必要だろうから、先に部屋に行ってもらった。


「…なんだろう、何かあったのかな。」


別段不安とかはないけれど、いつもは電話をくれてからくるというのが当たり前だったので、少し疑問に思う。

まぁ、突然の来訪も凄く嬉しいんだけど。


昔旅に出て、ゴールド君に出会って…色々あって、今私はゴールド君とお付き合いをしている。

恋人が家に遊びに来てくれるというのは、やっぱり嬉しいもの。

でも用事っていってたな…なんだろう。

とりあえず冷たいお茶をコップに入れ、2階の私の部屋に持っていく。


「あ、飲み物っスか?」

「うん、まぁ喉を潤してくださいな。」


コップを置き、私はベッドの上に座る。

ゴールド君はいれたお茶をぐいっと飲み干し、うまいっスねーと一言。

…まぁ、私が作ったわけではないのでおいしいとは思うけど。


「それで…用事って?」

「あぁ、それなんスけどね。…あったあった。」


ゴソゴソと自身のバッグの中を漁り、目当てのものを取り出してから、私に見せる。

これは…、猫耳、と…しっぽ?

一応、ピンで留めるタイプと…これは、くっつけるのかな。吸盤のようになってる…?のかな。

一体これをどうしようっていうんだろう。


「…ゴールド君、これどうしたの?」

「ちょっと知り合いから失敬しまして。ぜひライラさんにつけてもらいたいなーって!」

「わ、私に!?」

「はい、ぜーったい似合うと思うんですよねー!」


ニコニコ笑顔で、猫耳と尻尾を机に置くゴールド君。

私がつけるのを促しているようで、机に肘を置いて、私を見る。

…いやいや、恥ずかしいって。たとえそれが部屋の中で、2人きりだったとしても!

…でも、見たいから、知り合いさんから借りてるんだよね…うーん、でもその筋の知り合いってどういう人なんだろう。

いや、そこはどうでもいいか。


「…つけて、ほしいの?」

「そりゃもう!さらに可愛くなったライラさん、見たいなー。」

「う…」


どうしてこう、年下のお願いってキュンとくるものがあるのだろうか!

…折角ゴールド君が見たいって言ってくれてるんだし…うん、腹を括ろう。


「わかった、つけてみる。」

「ホントっスか!」

「うん。…まぁ、逃げるわけじゃないけど…目、瞑ってて。何かつけてるの見られると妙に恥ずかしいから…」

「わかったっス!」


楽しみだなー、といいながら目を瞑るゴールド君に思わず苦笑い。

…さて、つけ方は簡単そうだから、ぱぱっとつけてさっさと外しちゃおう。

そうすればきっと、ゴールド君も満足だろうし!

鏡を見ながら耳をつけて、尻尾は…まぁ、服の上からつけてみる。

お、意外とくっつく…これなら大丈夫そうだ。

最後におかしくないか(いや、この格好はおかしいといえばそうなのだけど!)確認して、ゴールド君に目を開けて良いよ、と声をかける。


「…わ、めちゃめちゃ似合いますねライラさん!可愛いっス!」

「あ、りがとう…。…もう外していい?」

「ダメッス!」

「えぇー…恥ずかしいから早く外したいんだけど…。」

「今日1日はこのままで!」


ウィンクしてお願いポーズをされて、そりゃお願いを聞いてあげたくなるんだけど…!

まだお買い物も済んでないんだけど…!

しかし、ゴールド君のお願いを無下に出来ない。完璧、私の負けである。

仕方ない、ありあわせのものでどうにかしよう。


「…うぅ、わかったよゴールド君。…今日だけね。」

「やった!大好きッスライラさん♪」


ぎゅうーっと抱きしめられ、ゴールド君は終始満足そうな顔をしていた。

…こんなゴールド君を見るのも、悪くはない、かな?

















「…そういえばどうして、猫耳と尻尾を持ってきたの?」

「(…猫耳つけたままで首かしげるの、たまんねーな)今日は何月何日ですか、ライラさん。」

「今日?2月22日…。…あぁ、そういうことか。」

「はい、そういうことです。だからライラさんにこれ、持ってきたんスよ。」

「でも、もうあんまりこういうのは…その、何度も言うけど恥ずかしいんだよ?」

「ライラさん、似合ってるからまたやってほしいなぁ…。(今度は犬耳?それも可愛いかもしれねぇ!)」

「…き、気が向いたら、ね!」


End


ゴールドは意外と健全方向になりました。笑。

とはいえ最後の文面を見ていると変態くささがにじみ出てますね、そんなゴールドって素敵です←

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