夢見 | ナノ
ある日常の中での告白




「…あれ、ゴールド君かな。」


前方、コガネシティのデパート前。

丁度旅に必要なものが無くなりかけてきたので、買いにきたのだけれど。

同じ目的なのか、旅先で知り合ったゴールド君を見かけた。

…同じくらいの、可愛い女の子を連れて。

…彼女かな?

そう思うと、にわかにズキ、と胸が痛む。

…うん、大丈夫。だってゴールド君にはもっとお似合いの人がいるもの。

私みたいな凡人が、たかが旅先で知り合った人間が、そんな付き合おうとか…うん、ないよね。

確かに、よくはしてくれたけど…女の子が好きみたいだしね。縛られたくないかもしれないし。

うん、オッケー。よし行こう、そして会ったらいつもどおりに「あ、ライラさん」「ひぇ!?」


…び、びっくりした、いきなり、目の前にいる、んだから!もう!


「な、なんスか…声掛けただけなのに。」

「ご、ごめん。ボーッとしてたから…久しぶりだね、ゴールド君。」

「ですねぇー、前回会ったのは確かタンバの時っしたね!」

「そうそう。私は旅の途中がてらだったけど、ゴールド君はジム戦だったよね。」


覚えてくれてたんだ、嬉しいなぁ。

本当に、ゴールド君ってよく覚えてる。

旅先で出会った人達とのこと、全部覚えてたりするのかな?


「そうだ、ここで会ったのも縁だし…ライラさんも買い物しにきたんスよね?」

「うん、旅で必要なものが無くなりかけちゃって。急いでそらをとんできたんだ。」

「じゃ、一緒に買い物行きましょう!」

「そうだね、って、うわっ…」


手、手!手、つながれてる、というかこのつながれかた、恋人むすびとかいうやつじゃ!?

顔を上げてゴールド君を見ると、本当に良い笑顔で。


「せっかくだし、いーじゃん!」

「っ…ま、まぁ、いいん、だけど…ゴールド君は、いいの?」

「?何がっスか?」

「手…他の女の子とかに、誤解、されちゃうし…」


何を意気消沈してるんだ自分。

これじゃ、ゴールド君に気を使わせちゃうじゃないか!


「別に?むしろ見せつけた方がいいかなって。…ね、ライラさん?」


不適な笑みを見せるゴールド君に、思わずドキッとしてしまう。

うぅ、年下な子にドキッとする…いや、好きなんだけど。

…って、見せつけた方がいいって、何?


「ゴ、ゴールド君…?」

「鈍いなぁ…あ、敬語なしでもいっスか?」

「え、あ、…うん、別にかまわないよ。堅苦しいの、嫌いだし。」

「そうっスか!じゃ、敬語なしで失礼しまーす!」


心底嬉しそうな顔をされると、悪い気はしない。

…あれ、そういえば鈍いって、何だろう。さっきから疑問ばっかりだなぁ。


「あ、そうだそうだ。ライラ。」

「ん?何、ゴールド君。」

「物凄く鈍そうなんで、先に言っとく。俺はライラのこと、友達とか旅先であった女の子っていうだけじゃないから。」

「へ、え?」

「まぁ、つまり。ライラのこと、恋人にしたいってこと!」

「…え!?」


い、いま、今なんて!?

というか、ここ、デパートの中なのに!

周りを見渡せば、そりゃもう…視線は全部といっていいほど、こっちを向いていた。

は、恥ずかしい…!

…そう、いえば…ゴールド、って…チャンピオンに勝ってるから、有名…だったり、する、よね…。

だからこんなに注目されて…うわぁ、穴があったら入りたい…!


「ちなみに、一々周り気にしてたら、俺にはついてこれないぜ!」

「!?」

「と、いうわけでー、俺に惚れられちゃったんだから、覚悟しろよ?」


そういうゴールド君は、そりゃもうかっこよくて。

その後何をしてたのか、何を買ったのか、なんて、わからない。


End


ゴールド君ってタメ語にすると難しいな…。

試験的に書いてみたけど、なんだか微妙。



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