夢見 | ナノ
甘いのは、君。




本日はそう、聖バレンタインデー!

というわけで、恋人のレッドのためにチョコレートを用意しようと思うんだけど…。

何を用意したらいいかな…トリュフ?クッキー?甘いチョコ?苦めのチョコ?

よく考えてみると、レッドの好みの味ってわからない…!


「どうしようかなぁ…。かといってシロガネ山にいっちゃうと、今日は帰ってこれない気がする。」

「…まぁ、それは否定しない。」

「でしょ?だから…、って、レッド!?」

「食料、無くなったから。」

「そ、そっか…(別にバレンタインだからってわけじゃないのね、よかったよかった。)」

「…で、これ、何。」


指を指された先は、チョコレートの山。(…失敗したとき用も含めて、割と大量に買ったんだよね…。)

これから作ろうと思っていたし、丁度いいのでレッドに好みの味を聞いてみよう。うん、それがいい。


「ねぇレッド。レッドって甘いの好き?」

「…ライラの甘いのなら、好き。」

「…そうじゃなくてね、食べ物的な意味で!」

「…ライラ。」

「だ、だから!食べ物だって!」

「ライラ。」

「…(私、食べ物じゃないんだけど…。)」


い、一応、そういうこともしたことある仲ではあるから、レッドにとってはそうなのかもしれないけど!

こういうあたり、ほんとレッドって野生的というかなんというか…。

だからって、私が食べ物っていう認識もちょっと困るんだけど。


「…冗談だよ。甘いのが好き。ビターより、とびきり甘い方が好みだよ。」

「…。うん、まぁ冗談ならいいけどさ。わかった、甘いのね!」

「何か作ってくれるの?」

「うん、楽しみにしててねー。今日は甘いのを食べる日なんだから!」

「…?まぁ、楽しみにしてる。」


そういって、レッドはリビングのソファに座って、机にあった雑誌を読み始める。

…まぁ、意味がわかってなさそうだけど…教えればいいか。


「(さて、作り始めなきゃ。)」

















「レッドー、出来たよ。…あれ。寝てる?」


チョコレートが出来上がったのでレッドを呼ぶ(結局トリュフにしてみた。1口サイズっていいよね!食べやすいし!)。

けれど、ソファに横たわって、胸を上下する姿しかみえなかった。

…待ちくたびれちゃったかな。割と時間かかったし。


「…レッド?」

「…」


にわかに動くが、私が近づいても起きる気配はない。

…なんか、こういう風に寝てると…いたずらしたくなるよね…。


「…レッド、起きて?」


でもまぁ、以前なんかいたずらしようとしたら仕返しに色々やらされたから、今回はしないでおく。

…怖かったんだからね、ほんと。色々あったんだから…!

少しゆすっても起きないレッドに、とりあえず毛布を掛けようと思い立ち上がる。


「…ん、ライラ…?」

「あ、起きた?レッド。」

「…寝てた、ごめん。」

「大丈夫だよ。…チョコ、出来たんだけど…食べる?」

「…食べる。」


のそ、と起き上がり、手に持っていたチョコを1つつまんで、食べる。

…おいしいかな。結構甘めにしたんだけど…甘すぎないかな?


「ん、おいしい。」

「ほんと!よかった、甘すぎたりしなかった?」

「うん。丁度良い。」

「良かった!」


レッドの舌には合っていたみたいでよかった。

…けど、ほんと、人によっては甘すぎて胸焼け起こすんじゃないかなって思うくらい甘くしたんだけどな…。

私だったら、確実に甘すぎて、胸焼けする。

それをおいしくて、丁度良いっていうレッドってほんと極端に甘党なんだなぁ。

1つ、新発見。


「レッド、今日はバレンタインデーだよ。だからチョコだったんだよ。」

「…あぁ、そういうこと。…じゃあ、もらってないよね。」

「え、今あげたんだけど…?」

「俺にとっての極上の甘い食べ物、まだ食べてない。」

「…。レッド、それは…」

「ライラ、食べたいんだけど。」


…本当に、この人は…自分の欲望に忠実というかなんというか。

でも、こういうスイッチが入ると…レッドは本当に1日中離してくれないんだよね。

だから、食べられる前に先手を打たねば!


「…レッド、今日はゆっくりしたいな…。ね?」

「…でも、ライラを食べたいんだけど。」

「それは明日で!…お願い。今日くらいはゆーっくり、レッドといたいな!」

「…。わかった。今日はそうする。」


あのレッドが、ちゃんと聞いてくれた!いやいつも聞いてくれるけど。

でも、こういうことをしようとすると、途端に目の色が変わるんだもん。


「(良かった…レッド、少しはこういうときの雰囲気とかわかるように…)」

「今日は、そうするけど。日付が変わったら、食べる。」

「…。レッド?」

「まだ時間が長いけど、変わった瞬間、食べる。」

「…レッド…。」

「そこまで我慢してあげる俺に感謝してね。」

「…感謝って。まぁ、その、嬉しいんだけどね?」


それほど愛されているってことで、それはそれで…いい、のかな?


なにはともあれ、ハッピーバレンタイン!レッド!



End


バレンタインですねぇ。

レッドって平気でああいうこといいそうな感じ。

しかも真顔。こちらが照れる他無いですな!^q^


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