お昼寝。
「レッドー、そろそろ離してくれませんかー。」
「…やだ。」
よく晴れた、お昼の時間。
そんな時間から、かれこれ…もう2時間。
私は、レッドに抱きしめられたままである。
…まぁ、シロガネ山の頂上でされているわけではないから、寒くはないけど。
今は、久々に下山して、私の部屋にいる。
…部屋に入って、ずっと、レッドは何もせずに私を後ろから抱きしめている。
…何もしないで、暇じゃないのかなレッド。
「…うん、別に抱きしめてるのはいいんだけどね、レッド。」
「…問題でも?」
「ないんだけど、さすがに…こう、なんというか…空間が、もたないというか…。」
「?」
「…うん、レッドが満足ならそれでいいけどね。」
私はといえば、レッドにギュッとされたままなので相棒のピカチュウを撫でている。
けれど、さすがに飽きてきたのか、時々身じろぎをする。
…2時間も付き合ってくれたもんね、そろそろ解放しなきゃダメかな。
「ピカチュウ、ありがとね。」
「ピカ。」
腕から解放してやると、ピカチュウはレッドのピカチュウと一緒に遊びに出かけてしまう。
…まぁ、そのうち戻ってくるとは思うけど。
しかし、この体勢はいつまで続くのだろうか。
別に、なにかしたいわけでもない。けれど、どこかくすぐったい。
…落ち着くのは、確かだけど。
「…ようやく行った。」
「え?あぁ、ピカチュウ?」
「ん。…ライラ。」
「なーに?」
「好き。」
「…また、すごい唐突だね。…でも嬉しいよ。好きだよレッド!」
普段、滅多に言ってくれないレッドだから、こうして言葉に出してくれるのは本当に嬉しい。
こんな、ほのぼのとした時間が、私は凄く好き。
「…ライラ。今日は一緒に寝よう。」
「…珍しいね。いつもは別々で寝ようっていうのに。」
「抑えられる気がしなかったから。」
「…うん、ほんとストレートな言葉だよね。…でも今日は?」
「大丈夫。…一緒に寝たい。」
「…うん、寝ようか。今から?」
「ん。」
首筋に顔を埋めつつ、レッドは頷く。
…今日のレッドは、甘えんぼだなぁ。
一瞬私の腰から腕を離すが、それは本当に一瞬で。
「うわわっ!?ちょ、レッド!なんでお姫様抱っこ!?」
「…なんか、今日は離れたくない。常に、触れてたい。」
「…、」
二の句は、言えなかった。
おそらく耳まで真っ赤…なんだろう、な…。
レッドはベッドに私を下ろすと、再び私を抱きしめながら、横になる。
「…おやすみ、ライラ。」
「ん、おやすみ。レッド。」
所謂、腕枕をされながら、私は眠りについた。
…こんな日常も、素敵だな。
End
レッドと一緒に寝たい。
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