そんな君が好きなのだけど!
そんな君だから、好きなのだけど!
「レッド。」
「…ライラ。」
豪雪な上に猛吹雪の中、彼は…レッドは、そこに立つ。
自分より強いものを求めて、険しいシロガネ山の頂点で、挑戦者を待つ。
そんな私は、挑戦者ではないのだけれど。
…というより、私の手持ちだと勝てそうには、ない。
何せ、私はバトルはするけれども、進化をあまりさせないから。
別に私のポケモン達はそれを気にすることはなく、むしろ喜んでいるようにも見えるので、それはそれでいいのだけど。
けれど、やはり高いレベルの人たちと戦うならば1匹は進化したのがほしいところだ。
ましてや、相手は生きる伝説。戦略次第だとは言っても、限度がある。
「…今日は、どうしたの。」
「あぁ、グリーンに頼まれてね。物資運搬だよ。」
「…そっか、もうそんなに時間、経ったっけ…。」
「ほんと、たまに生きてるか不安になるから、せめて連絡くらいちょうだい…。」
「…連絡手段…」
「また今度、ポケギア買ってきてやり方教えるから!ね?」
「…考えとく。ライラが教えてくれるなら。」
本当に、彼は凄いと思う。
何だかんだで、3年程ここにすごしているだけある。
世間離れしてるというか、浮世離れしてるというか。
…ほんと、人間に興味がないんだから。あ、グリーンは別か。
しかし、私が教えるならってどういうこと?
「…今日は?」
「え?」
「今日。もう帰るの?」
「あぁ、そうね…特に用事はないけど、もう帰ろうかなって。」
「…いて。ここに。」
「…ここに?泊まってってこと?」
コクリ、と頷くレッド。その紅い瞳は、真っ直ぐ私を見つめる。
さてどうしたものか。別に用事はないのだから、今日くらい泊まっても良いのだけれど。
そう思っていると、レッドは私の腕を掴んで洞窟内へと向かっていく。
思った以上に強いその力に、私は驚く。
「ちょ、レッド?」
「…いて、ほしい。そばに。」
「…、レッド、」
その言葉に、私は固まってしまう。(とはいっても、相変わらずレッドが引っ張っていくので止まったのは思考だけだが)
どきどき、してしまう。
「…ね、レッド。今日は、私、ここに泊まるよ。だから、寝袋、貸して。」
「…じゃあ、隣で一緒に。」
「はい?」
「大丈夫、きっと抱き合えば、あったかい。」
「だっ…」
なんてことを言い出すのレッド!!
だ、だ、抱き合うって!
…お、落ち着け、落ち着くのよ私。
抱き合うっていうのは暖めあうってだけで、別に他意はないし!
って、私は何を期待してるの!もう!!
「…ライラ。」
「な、なにっ?」
「ご飯、作って。ライラのご飯、食べたい。」
「…、わかった!じゃあ材料教えて!」
少し、期待してしまう自分が微妙にいや。
あぁ、もう。
大好きだちくしょう!
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