君と見る世界
君といる世界は、いつでも色づいていて。
君と見る景色は、いつでも輝いていて。
改めて、あぁ、君がいないと始まらないんだって、思った。
「…どうしたの、N。」
突然抱きつくのはいつものことだけど、今日は増して、抱きつく時間が長い。
それはそうだ、本当に愛しくて愛しくて、本当は一時も離したくないのだから。
それでも、いつも彼女にうまくかわされてしまうから、仕方なく自由をあげることにする。
ボクと、彼女しかいない、世界。
その中に、入れる人間は、1人もいない。
トモダチは…まぁ、少しなら許すとして。
「…N?聞いてる?」
「聞いてるよ、ライラ。ボクはいつも言ってるじゃないか。本当は一時も、離れたくないんだ、って。」
「それじゃあ誰も料理ができないから、栄養不足で死んじゃうでしょ。Nも死んじゃうんだよ?」
「…まぁ、それは困るけど。」
「じゃあ、一旦離して?料理を作って、食べ終わったら、またこれしていいから。」
「…ほんと?」
「ほんとほんと。だから、離してくれるかな、N?」
名残惜しいけれど、生憎ボクは料理を作ることはできないから、ライラを離した。
以前はちゃんと作ろう、ライラのためになることをしようと思って作ったのだが、なぜか爆発してしまった。
それを見て、今後は私が作るから、Nはお洗濯してくれる?といわれてしまったので、大人しく従う。
流石に爆発するとは思わなかったよ。ボクも。
洗濯はまぁ、やり方をみればできるものだったから、すぐにできた。
今となっては、料理がライラで洗濯がボク、という役割分担だ。
こんな生活をしはじめてから、1ヶ月。
誰もいない場所を探した。人間が住み着かない、場所を。
そして、ボクの最大のトモダチ、ゼクロムと、彼女が持つレシラムを出せるような環境を探し求めた。
ついに見つけたこの場所は、本当に良い場所だった。
ゼクロムもレシラムも出しても、余裕ある島。
野生のポケモンも穏やかなもので、ボクらは何もしない、ただ住んで、食料を少し分けてほしいだけなんだというと、快く受け入れてくれた。
今思えば、ポケモンの言葉が理解できるという力を持っていたのは非常に便利だったな、と思う。
「N、できたよ。食べよう…?」
「ねぇ、ライラ。」
「ん?」
料理が少し冷めてしまうかもしれないけれど、ボクはやはり、彼女しか見れない。
ありったけの想いを、いつもいつでもいつまでも、つむぎ続けていきたい。
君が変えてくれた、ボクの世界。
君が変えてくれた、ボクの景色。
見えていたものはモノクロから極彩色に。
「愛してる。ライラしか見えないほどに。」
「…うん、私も愛してるよ。N。」
ギュウ、と抱きしめてそのまま倒れこんでも、ライラは笑ったまま、ボクの頬を撫でる。
私はそばにいるから、とでも言ってくれているようだった。
そして、甘えるようにして、ボクはライラの唇にそれを重ねた。
End
このまま書けば裏になるという。
Nって書きやすそうで書きにくい。
トウヤ夢も書きたい今日この頃…。
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