16.さよならのダンス(1/21)
シェフが目の前でステーキを焼く姿を、今にもヨダレを垂らしそうな顔で見つめる主人公Aと蘭丸…そして幸村
「美味しそうでござるな」
「ほんと…」
「蘭丸、あんな肉食べたことないぞ」
ダンスパーティが始まったことにも気付かず、三人は肉に夢中だった
そんなヨダレを垂らす食い気まんまんの三人に声を掛ける男が一人
「や、やぁ主人公Aちゃん」
信玄に破壊力満点のげんこつを食らった佐助だった
「佐助ッ!大丈夫だった?」
「おぉ、佐助ではござらんか。さっきから探しておったぞ」
「(チッ、生きてたか)…」
かろうじて生きていた佐助は、主人公Aの姿(主に顔と胸元、ナマ足)を見て120%回復した
蘭丸は佐助の登場により、主人公Aを取られてしまうのではないかと面白くない顔で佐助を睨んでいた
「ねぇねぇ聞いてよ、幸村!佐助!さっきね、信長校長と話しちゃったんだよ〜超怖かったけど、信長校長ってば超優しかったんだ〜なんか意外に話しやすくてね、婆娑羅クラスのみんなの話を真剣に聞いてくれたの!ダンディなオジサマってかんじだったの」
「某も一度信長校長と話をしてみたいでござる」
「おい、主人公A!信長様をオジサマって呼ぶなよ」
「え〜だってオジサンじゃ失礼だし、お兄さんって年じゃないでしょ」
「うるさい!信長様は信長様だッ」
「はいはい。あ、佐助も一緒にステーキ食べない?お肉もうすぐ焼き上がるよ」
「あぁ。お肉もいいんだけどさぁ。主人公Aちゃんをダンスに誘いに…」
佐助は主人公Aにダンスを誘おうとすると、先ほどから主人公Aの隣を陣取っていた蘭丸が言葉を遮った
「おい、お前!」
「…」
佐助はピクリと眉を動かし蘭丸を見下ろした
主人公Aと幸村は、ステーキを焼いていたシェフに「お肉焼けましたよー」と声を掛けられテーブルに走って行ってしまった
「さっきからなんなの?蘭丸君…だっけ?アンタが主人公Aちゃんのこと好きなのかどーか知らないけどさぁ、いちいち俺様に突っかかってくんのやめてくんない?」
「ふーん、お前やっぱり主人公Aのこと好きなんだ」
「そうだよ!だからお兄さんの邪魔しないでね、ぼく」
「おい、蘭丸を子供扱いするなよ!年下でも蘭丸だって主人公Aのこと…」
淡々と静かに闘志を燃やす二人の元に、肉を頬張った主人公Aと幸村が二人分のお肉を持ってやって来た
「佐助!ステーキ持ってきたでござるよ」
「蘭丸君の分もたくさん貰ってきた…あれ?どうしたの二人とも」
黙って睨み合う二人。主人公Aと幸村の姿を見つけると、蘭丸は急に主人公Aに抱きついた
「うわぁぁん、アイツがいじめるよぉぉぉ!」
「はァ?」
主人公Aの胸元に顔をうずめ、蘭丸は嘘泣きすると主人公Aは蘭丸と自分用に持って来たお肉をテーブルに置いてしゃがみこんだ。佐助は意味が分からないと言った顔で蘭丸と主人公Aを見ている
「どうしたの、蘭丸君!」
「ううっ、あのお兄ちゃんがッ…ヒック」
ヨシヨシと蘭丸の頭を撫でる主人公A。蘭丸はあろう事か主人公Aの胸(偽物)に自然に手を当て泣き真似を続ける。主人公Aと幸村に見えないように、フンと悪い笑みを浮かべた
「こンの糞ガキィィィィィ!」
「もう、佐助ッ!中学生相手になにしてんのよっ、大人げないじゃない」
「いやっ、主人公Aちゃん!違うんだって、このガキ…じゃなくて蘭丸君がね、」
「佐助ぇ!子供を泣かすなど、某は恥ずかしいでござる」
「いや、違うんだってば!俺様はただ主人公Aちゃんをダンスに誘いたかっただけで(まぁ若干大人気なかったけどさぁ)」
「私をダンスに?」
「そうそう!そしたら蘭丸君が邪魔し」「あー!ここにいたー(ハート)」「え?」
佐助が主人公Aと幸村に一生懸命言い訳しようとすると、佐助の後ろから露出度がハンパない巨乳のグラビアアイドルっぽい女の子二人組が現れた
「探したんだよぉ〜佐助くぅん!さっき、飲んだ時に一緒にダンス踊ってくれるって言ったじゃん!目離した隙にいなくなっちゃうんだもん」
巨乳の見知らぬ女の子は佐助の腕にしがみつくと胸を思いっきり当てた
「(ゲッ!さっきのしつこい女…)ちょっ、今取り込み中だからあっちに行ってくんない?(主人公Aちゃんに誤解されたらどうすんだよ!)」
「…ふーん、良かったね、佐助。そんなにナイスバディで美人なお姉さんとダンスの約束してたなんて。いってらっしゃい!私、自分より弱い子をいじめるような人、大っ嫌いだから」
なんとなく蘭丸の教育に良くないと悟った主人公Aは、「あっちに行こうね」と優しく言い、その場を去った
蘭丸は、佐助に向かってニヤリと笑い「ベー」と舌を出した
「キィィィィィィ!」
「ねぇ、こっちの男の子も超可愛いんだけどぉ(ハート)」
もう一人の巨乳の女の子は幸村の腕に胸を押し当て抱きついた
「ヒィィィィィィィ胸がぁぁぁぁぁぁ」
幸村の雄叫びがパーティ会場に木霊した
幸村の断末魔を背に主人公Aはイライラしながら蘭丸の手を引いて歩いていた
主人公Aは、佐助が自分以外の女の子とベタベタくっ付いているのを見て嫉妬していることに気付いていなかった
「ばかばかばかばか!乳がデカけりゃ誰でもいいの?これだから男って奴は!ブツブツブツブツ…あームカつく!竹中先生は別だけど…」
「…主人公A?」
不思議そうに主人公Aを見つめる蘭丸は、黙って主人公Aの傍についていてあげようと心に決めた
This was written by あんず
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