06.息抜きしましょ(1/12)
「もう夜遅いし…寝るか!」
「ぃやったぁぁぁぁ!!!」
「煩いわっ!!主人公A、黙れ!」
やっと苦難を乗り越え、就寝にありつける…皆それが嬉しかった…主人公Aは元就のドS級の秀才スパルタ授業を受け、幸村は主人公Bのおかげか分からないが何故かいきなり賢くなり、元親と慶次も勉強できるようになっていた
何とか遠足の後のテストで赤点を取らずに済みそうな予感
「じゃあ、明日…主人公Aがテスト範囲が出来るようになったら出掛けるか」
「えっ!えっ!!何処行くの!?」
「…目がキラキラし過ぎだ。何処でもいいぞ?月曜日、普通に学校生活を送れるならな」
すると、主人公Aが跳びはねながら何処に行くかを考え始めた
……勉強出来たらだぞ!?
出来るのか!?出来る保障はあるのか!?
「主人公A、明日勉強出来てから考えろ…出来ていないのに考えても仕方ないじゃないか」
「あ!そうだね!!明日頑張ろっと♪」
「じゃ、俺達も寝るかぁ〜!」
慶次はあくびをしながら、背伸びをする。政宗も元親も幸村も同じくあくびをしていた
元就はいたって普通の表情をしていて佐助は相変わらず廃人と化していたまま動く気配が全く無い
主人公Bの後ろから元親が近寄ってくると、こそっと耳打ちをする
「…また部屋に行ってもいいか?」
「あぁ…構わないが……アレをどうにかしないとな」
耳打ちして来た元親に、耳打ちし返す主人公B
佐助は机に肘をついて外を眺めたまま、放心状態だ
はぁ…と溜め息を一つ。
ありゃ、生きた屍だな
主人公Bは離れた所で一人寂しく座り込む佐助に近付き、隣に座る
主人公A達には聞こえない程度の声量で話し掛けた
「…佐助!」
「…ぁあ〜…何…?」
「拒否されたのが、かなり苦痛だったみたいだね」
「……いきなり…その話し方かよぉ……」
「冗談だ」
「冗談言わないでー…マジ……不登校になりそうかも……」
「…好きだから、主人公Aの言葉に傷付くのではないか?」
「……確かに気付いちまった…主人公Aが好きだって…。けどさぁ…主人公Aには嫌って言われたし、竹中半兵衛がライバルとか…太刀打ちできない…」
「おーい、いつもの佐助さんは何処に消えました?ってか、半兵衛にライバル意識持ってたのかよ」
「…ハハハ……」
生きてはいる。口も動く。苦笑いもする。言葉も発する。
…だが、やはり屍状態にしか見えない
人間とは、好意を持った相手に拒否られると こうまで堕ちてしまうものなのだろうか…
そう思うと、政宗達は異常に強い。勿論精神的な意味で
「佐助…大丈夫だ……主人公Aとの恋には、出来る限り私も協力する」
「ムリムリ…もー無理……絶対無理…天地がひっくり返ったって無理……」
おい。ネガティブな佐助なんか、滅多にお目にかかれないぞ
普段は飄々とし過ぎて、軽くムカつくが 今はあまりに憐れな姿になっている
屍?死人?人形?…どれにも当て嵌まりそうだ
「ネガティブ過ぎやしないか…?」
「…もう、ポジティブに何か生きられない……ニートにでもなろうかな」
待て待て待てぃ!!!!
ニート?ふざけんなよぉ!!
…許さん……許さんぞ、佐助ぇぇぇ!!
主人公Bは佐助を、自分の方に振り向かせると佐助の頬を一発思い切り叩いてやった
どうせなら、壁にめり込む程強く殴れば良かった…!!
叩かれた佐助は、唖然とした表情で主人公Bの顔を見る
あ…ヤバっ…怒らせちゃった
離れた場所で見ていた政宗達も驚愕の表情をしているのが、手に取るように分かる
「佐助ぇぇぇ……テメェ…何様のつもりだよ…!!ニートになりたいだぁ!?ふざけんじゃねぇ!つか、いつまでも引きずり過ぎなんだよテメェは!!気持ち悪ぃわ!さっさといつもの佐助に戻って、明るくしてりゃいいんだよ…分かったか!馬鹿めが!!」
「すいません!ホンッッットごめんなさい!!!だから殺さないで!!」
「……よし、立ち直り完了」
「えっ?」
「いつもの佐助でいいんだ。じゃないと、主人公Aがまた自分を責めて苦しむぞ?」
「…そうか」
忘れてたぜ…
佐助は微笑むと、椅子から立ち上がり 今更あくびをしながら「じゃ俺様は先に寝るわ〜」と皆に言いながら去っていった
だが、まだやはり苦しそうな表情はしていた。…まぁ、あそこまで立ち直っただけでも良しとしようか
This was written by 天華ちゃん
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