05.勉強どころじゃない!(1/14)
元親は主人公Bの手を、自分の頭の上から下ろすと指の間に指を通すような形で手を握った
いきなりの事に主人公Bは少し戸惑う。胸の高鳴りがおさまる事はなく、逆に鼓動が早くなっていく
「…元親?どうしたの……?」
「皆が居る前では、恥ずかしくて出来ねぇんだろ…?」
元親は顔を上げるが、恥ずかしいのかほんのり頬を赤く染めながら手を強く握り締め主人公Bを引っ張って自分の方に引き寄せる。手は繋いだまま…片腕で主人公Bを抱きしめていた
…!…胸の鼓動が伝わったらどうしようか…
だが、元親の懐は温かく主人公Bも気を抜いたら寝てしまいそうな感じの温もりと優しさ
元親はずっとその状態。離そうともしない
「元親……??」
「勉強出来たからいいだろ…しばらくこのままで居てぇんだ」
「……分かった…気が済むまで、付き合ってあげる」
「…あぁ」
二人はしばらく、その状態のままだった。10分…20分と時間が過ぎていく
こんなに時間が経っても政宗達が来ないと言う事は、もう寝たと考えていいだろう
既に夜中の2時は過ぎている。小十郎だって元就だって、夜行性(にみえる)の佐助だって完全に寝ている時間帯
見つかると言う事はないだろうが…多分…大丈夫だろう
元親は手を握っていた片手を離し、今度は両腕で主人公Bを抱きしめる
主人公Bは少し微笑むと、一度だけ優しく元親をギュッとやると 手を離した
元親の綺麗な銀色の髪が目に入って…主人公Bは髪を手で触る。サラサラで、髪質がいい
……綺麗な髪をしてるんだな…
すると元親は主人公Bの身体を少し離した
表情は落ち着いていて、眠たくはなさそうな顔つきをしている
主人公Bは首を少し傾げて、元親に「おーい…元親……?」と話し掛ける
「……なぁ」
「ん?」
「政宗居ないしよ…」
「?うん、政宗は居ないけど…どうかしました?」
「…俺……お前が…」
「はい、はい…何?」
「お前が…っ!!」
「…うん」
「…す……きだ」
「……はぁっ!?」
「お前が好きなんだよっ!!悪ぃか!///嫌いなら、思い切りフってくれっ!!///」
「そんなに怒るなよ、元親」
主人公Bはにこやかに笑うと、元親の方を見る。表情は笑っているが、主人公Bの瞳は真剣だった
「…保留にしておいてくれないか?」
「…アァン!?返事を待ってろって事か…?」
「それ以外に何がある?」
「い…いや……待ちます」
「素直でよろしい。…じゃ、終った事だし部屋で寝るか?元親」
「あぁ…って、何で【寝るか?】って聞くんだよ」
「私の部屋で寝るか?と言う意味を含めてみた」
「そうか………はぁぁあ!?」
「ふふふっ…冗談では無いぞ。お前が私を襲わない約束をするのなら、一緒に寝ても構わない」
「なっ…///何で早く言わねぇんだよ…!?」
「聞かれなかったから、答えなかっただけだ。聞かれていないのに、言う必要など無いだろ?」
「……る…」
「えっ?」
「一緒に…寝る……って言ってんだよ…!////恥ずかしい事言わすんじゃねぇっ!//」
「そうか。なら、早く参考書とかを早くしまえ。部屋に戻るぞ、元親…早くしないと鍵を閉めるからな」
「オ、オイ!!ちょっと待て!」
急いで片付ける元親を背に、主人公Bは気付かれないように笑っていた
政宗達は約束を覚えていてくれて
元親は私の事を「好き」と言ってくれた
皆、私と一緒に居てくれる…こんなに幸せな事なんてない
政宗達が居て、私が居る
居なくなったら…私がこの世に生きる意味すら成さなくなる気がする
「元親!早く!!」
「お、おうよ!」
「ほら遅いって!参考書貸して!」
「あ、あぁ」
「全く…好きって言ってくれたから仕方なく一緒に寝るんだからねー」
「仕方なくってなんだよ…」
「冗談だって、冗談♪でも、男と一緒に寝るなんて始めてだな…」
「!!」
「きゃー!元親の破廉恥ぃ〜!!///」
「う、うるせぇな!////」
「いいや、元親に引っ付きながら寝よう…久しぶりに人肌を感じてみたいし」
「ひ…人肌!?//」
「…今、変な事想像したでしょ…?」
「しし…してねぇよっ!//」
「やっぱり、元親の破廉恥っ!!」
「断じてしてねぇからな!//」
「……ねぇ、元親」
「…何だよ?」
「私…今が一番幸せかも。元親が好きって言ってくれて、皆が約束を覚えててくれて」
「あぁ…」
「……よし、部屋まで早く行こうか」
「そうだな。…主人公B」
「何?」
「政宗達の想いにも気付いてんのか??」
「?何がよ」
「気付いてないのか」溜め息をついて、元親は「何でもねぇ」と言うと主人公Bの部屋へと足早に向かって行った
主人公Bが急いで追いかけて、「何か恋人みたいだねぇ〜」なんて元親をからかい、真っ赤になった元親は「主人公Bの恋人になってみせるぜ!!///」なんて主人公Bに言った
This was written by 天華ちゃん
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