うららかな春
屯所の庭に迷い込んだ猫が昼寝をする姿を見てまどろんでいた平和な午前中

昼食を食べたらミントンの練習でもやろうか、なんて密かに計画していると


「おい、山崎」


背後から副長に呼ばれて、一気に目が覚めた
慌てて振り向くと、「ちょっと」と一言だけ吐いた副長はそのまま部屋に戻って行った

何も語らず部屋に呼ぶってことは、これは内偵調査の仕事かと察しがつく


「あーあ、今日のミントンはお預けか」

弄っていたミントンラケットを腰に挿して副長室へ急いだ















副長室に通され、テーブルの前に座らされた。副長は背中を向けたまま、何も語ろうとはしない
それが、今回の仕事のヤバさを物語っているようで声をかけにくい

大きく煙草を吐くと、副長は机の引き出しから一つのDVDを取り出した
パッと見ただけで分かるそれは


「なんですか、このＡＶ…」


朝の爽やかな陽気から一転、ムラムラした昼下がりに突入しそうだ


「山崎、その中身見たことあるか？」


「『素人ナンパ狩り！真面目美少女の初めてを無理矢理いただいちゃいました』…副長こういうのが好きなんですね」


「ちげーよ！馬鹿！裏の右下の写真見てみろ」


複数の女の子が露になった写真が点在する中、副長が言った通り写真を見渡すと


「‥‥これ！なまえ？」


見たこともない妖しい笑みを浮かべ、あらぬ姿でよがっているなまえの写真
その横には、「警察官を目指す真面目少女の処女喪失！」の文字が


「複数の隊士たちの間で話題になっている。その女がなまえかなまえじゃないのか…早急に調べろ」


「調べろって…」


「5年も昔に撮られたやつだ。製造元はとっくに潰れているらしい」


白いブラジャーをたくしあげられ、泣きそうな顔をするなまえ
ナニを口にくわえるなまえ
ベッドの上でＭ字開脚するなまえ

どの写真も全てがなまえに似すぎていて、違う写真を見つける方が難しい


「潰れた製造元を辿っていくか、本人に聞くか。お前の好きにしろ」


好きにしろって…こんなの本人に聞けるかー！


「…副長は見たんですよね？副長はこれをなまえだと思ってるんですか？」


「お、俺がそんなもん見るわけねーだろ。…いいから行け」


後ろを向いてしまった副長に、例のブツを後ろ手に隠して副長室を後にした
つい、自室へ戻る途中にもう一度なまえなのか、そうではないのか確認しようと思ったが、こんなものを持ち歩いてるなんて他の誰か…ましてや疑惑の張本人であるなまえに見つかってはジ・エンド

パッケージだけでも見てみたい欲求を抑えながら、自室へと急いだ

もちろん、中身のなまえを確認するため！これも立派な仕事の一つなんだ、と自分に言い聞かせ、ＤＶＤプレイヤーに『素人ナンパ狩り！真面目美少女の初めてを無理矢理いただいちゃいました』をセットした



prev｜next