ザキ | ナノ

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「ねぇ、俺の部屋で何してんの?てかどーやって入った!?」


「そこの窓から入りました。これって不法侵入ですよね?」


「え、まぁそうだけど」


「じゃあ山崎さん、私を逮捕してください」


「は、何で君を?」


「だって逮捕されたら山崎さんが取り調べしてくれるでしょ?」


「…君を逮捕なんてしないよ。分かったらさっさと帰ってくれない?


わ!ちょちょちょ、何してんの」


「山崎さんを押し倒しました。これって暴行の現行犯ですよね?逮捕してください」


「何言ってんの!ちょっと退いて」


「嫌です」


「ぎゃぁぁぁ!どっどこ触って…」


「ナニです」


「女子がナニとか言うなー!」


「じゃあ山崎さんのおちんち…」
「止めてー!そっちのがアウトだからー!」


「私、山崎さんの局部に触っちゃったんで、強姦の罪で逮捕してください!あ、何なら脱いで猥褻物?なんちゃらで…」


「猥褻物陳列罪!…ってギャー止めて!脱がないで!」


「…じゃあストーカー規制法で嫌いって言ってください。私のこと好きじゃないって…そしたら、山崎さんに無視されたって傷つかないし、山崎さんに道でばったり会っても話しかけたりしません。きっと山崎さんのこと…諦められます」



聞きたくないよ、ほんとは


「ごめん。
君のこと好きじゃない。他に好きな人がいる」


あーぁ、分かっていることだけど、こうもハッキリ言われたら私だって悲しい


「こんな俺を好きになってくれてありがとう、なまえちゃん」


やばい!涙出そう…ダメダメダメダメ…泣かないって決めたんだから
決めたのに…


「泣かないで、なまえちゃん」


山崎さんは申し訳なさそうに私の頭に手をおいた

最後に。顔を上げ、もう一度山崎さんの優しそうな顔を見上げれば、「ごめんね」と一言添えて頬に伝う涙を拭ってくれた


やっと、私の思いに気付く前のいつもの地味な顔が見れました






ーーーアトガキーーー
たまに片思い中の山崎さん。沖田からなまえちゃんの気持ちを知らされ、どう接していいかわからず冷たくなる、中坊ザキくん



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