FW・B


雪原心中

2010/02/01 11:25








軋む足元の白色は、溶ける気配など微塵も感じさせず、ただただ美しい結晶の形を歪めさせるのでした。

「寒いね」
「寒いな」

体の末端の毛細血管は収縮して、かたかたと震える肩を寄せあう僕らを嘲笑うかのように、寒波を受けとめていた。全面の白とぽつりと浮く彼の黒、ひよこのようだとからかった後れ毛にも茶筅髷にも雪は降り積もっている。

「そろそろかな」
「そろそろだな」

相槌を打つ彼の虚ろに伏せられた目と紫の唇はまざまざと、少し先の結論を僕に教えてくれており、きっと彼も僕で悟っているだろう。同じ未来だ。

「ねぇ眠いね」
「ああ眠いな」

もう少しで春がくる。だけど冬が終わるのはまだ先なのだ。
彼の紫と僕の紫を重ねてあわせて、結局ひとつになれなかったねと、僕はとても残念な気持ちになったのだった。



雪原心中
春よ、早くおいでませ
 
 
 
 

END
10分クオリティ・ω・



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