FW・B


宇宙外生命体

2009/12/23 21:04


現代パロ。しっかりホモなので、苦手な方はご注意下さい





 この腕の中に捕らえた電波っ子をどうしてくれようか、と頭を悩ますのは毎度のことである。

「ねぇねぇ八っちゃん、どの宇宙人が好き?」
 ほらほらとテレビに映された幾段階かの灰色は、朧気に異相の人柄を形成していた。嬰児のようにもとれる不安定な体は酷く滑稽で、SFXとか合成とか、現代的な(そしてお粗末な)技術が見え隠れしている。
「宇宙人に種類なんてあるのか」
 まず存在自体を信じていない俺にとってはどうでもいい話題だったけれど、彼の大きな瞳と長い睫毛をキラキラとさせて上目遣いされていると、無下にするのには大きな罪悪感が起きた。
「たくさんあるのだぁ。」
 火星人、グレイなど聞き覚えのある単語は聞き取れたものの、その他は俺の中できちんと単語として形成されなかった。俺にとってお前の方が宇宙人だよ、兵助。

 時代遅れのブラウン管の箱からは、乱雑な討論と雑多な情報、笑い声。まるで俺のことを笑ってるみたいだ!と、被害妄想に駆られる。けれどそれはきっと気のせいで、世間は俺と俺の腕の中で顔を赤らめている兵助のことなんて認知していないのだ。孤独感と孤立感も気のせいと言ってしまえばそれまでだけど、社会一般的に大きな声で言えない俺らの関係には、そのくらいの疎外感が必要だった。

「ねぇ、八っちゃん。チュパカブラは実在すると思う?」
「兵助、お前って奴は…」
 俺の手の内で震える彼の自身と、なまっちょろい背中にくっついているお粗末な欲情の意味を理解しているだろうに、そんなムードを打ち壊して、再び宇宙人について熱弁を奮おうとした彼に腹が立った。お前いい加減にしろよとふるふると鎌首をもたげたそれに、ぎゅっと力を入れる。きゃんっと小さく鳴いた兵助を尻目に、がやがやと好き勝手にテレビは空気を震わせていた。

「テレビ消すぞ」
 ぎゃんぎゃんと鼓膜に噛み付く雑音は俺の欲情を萎えさせそうだし、なおかつ兵助の気が散って仕方ない。エイリアンだのUFOだのに邪魔されて許せるほど、10代最後の俺の心は広くなかった。
「やだぁ見る!」
 じたばたと暴れ始めた彼を小脇に抱え、寝室へ連れ込む。体格差はさほどないものの、体育会系サークルに所属する自分と豆腐研究会という謎のサークルの兵助とでの力差は甚だしく、易々と連れ込むことが可能だった。

「おとなしくしろって!」
「やだぁ!」
 白い尻をぺちぺちと叩いて意識をこっちに向けさせようとするものの、携帯のワンセグ機能で先ほどの番組を視聴する兵助は意固地だった。なんでコイツこんななんだ…絶望的な気分になりながらも俺は俺の好きにしてやると開き直り、気の散る中で事を進めるのだった。




この子が一番遠いんですが
 

END
やっちまった/(^O^)\
竹久々はいちゃいちゃしながら残念な所しか考えられません^q^

竹谷は農学部、久々知は経済学部で同じ大学に通ってる設定です



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