◆


「足、舐めて」

つかさはそう言ってニヤリといやらしく笑うと、俺の顔の前に右足を差し出した。

「……つかさ?」
「いいから」

つかさの命令は俺の中では絶対だった。
俺はつかさという主人に仕える騎士であるから。

そして、俺はつかさのこういう命令が嫌じゃないのだ。
俺は差し出された足に這うようにして口づけする。

「ちょっと生意気だけど、従順な奴は好きだよ。……義樹、可愛い」
「はぁっ……んむ、ぅっ……」

俺はそのまま、つかさの足の指を口の中へ咥え込む。ただつかさを悦ばせたい一心だった。

すると、つかさの艷めかしい喘ぎ声が上がる。
直接性器を咥え込んでいるわけではないのに、この甘ったるい喘ぎは一体どういうことだろうか──と、視線だけを上げてみると。

「あっ……あぁんっ、んっ……やぁぁ……」
「ん、っ……! つかさ……!?」
「はぁっ、だめ、義樹……ちゃんと俺がいいって言うまで足しゃぶってろよ」
「ぁっ……」

なんとつかさは椅子の肘置きに左足を乗せ、大股を開き、俺に見せつけるように自慰を始めたのだ。
その際、尻が少し手前にずらされて、尻の穴まであられもなく俺の前に曝されていた。

「あぁ……ぁ……つか、さっ……」
「はは、義樹のチンコびくびくしてるよ? んっ……さっきよりもちょっとデカくなってるんじゃないか? この変態」
「……そんな、こと……」

変態なのはどちらなのだと言い返したくなったが、人の足を舐めて勃起する俺もそう人のことを言えないような気がした。

「あぁっ、あンッ……! はぁっ……ほら義樹、ちゃんと足舐めてこっち見ろよ」
「んっ、ぁ……つかさっ……」
「はぁんっ、ぁ、やん、んんぅ……!」

つかさは本気で自分の性器を虐めにかかっているようだった。
知り尽くしているであろう自分の弱点をピンポイントで責め続け、自らの手淫によって切なく体を震わせる。
亀頭を集中的に撫で回し、下腹部に強烈な快感を与えると、丸見えになった後ろの尻穴が連動したようにヒクヒクと収縮してたまらなく卑猥だった。

「んっ……ふふ、義樹は俺の尻に入れたいんだろ」
「あ……っ、入れ……たい……入れさせてっ……」
「お前の熱烈な視線が尻に刺さって──ぁんっ……まるで穴が視線で犯されてるみたいだ……」
「もう我慢できない……俺はつかさの中に入りたいっ……!」
「あはは、足がお前の唾液でべっとりだ……。いいよ、満足した」

つかさは俺に差し出した足を引っ込めると、その足をも持ち上げて肘置きに掛けた。
これでつかさは両足を目いっぱい開き、恥部をすべて曝け出す格好となる。

「つかさッ……!」

とうとう我慢ならなくなった俺は立ち上がり、椅子に座って淫妖な笑みを浮かべるつかさに被さるようにして、自らの欲望をつかさの入口にあてがう。

「いい子にはご褒美あげないと、な」
「つかさッ……! あ、あぁ……!」
「ひんっ……んんん──!!」

蕩けに蕩けたつかさの秘部に、俺の猛りをズプズプと挿入させていく。
つかさの中はいつ入っても気持ちがいい。
口でこそ言われなくとも、つかさの全身が俺を待ち望んでくれていたことを痛いくらいに実感する。

ほら、こんな風に──。
中に入った途端、もう二度と離さないと言わんばかりの窄まりで俺を歓迎してくれる。

「やっ、んぅっ……深いっ……!」
「つかさの中、俺に甘えるみたいにきゅうきゅう締めつけてくる。つかさはどこもかしこも、可愛いっ……」
「……ったく、お前はいつもいつも……ぁんっ……恥ずかしいことばっか、言うなよ……」
「恥ずかしい? 俺にはつかさの“恥ずかしい”の基準がイマイチわからないな。大股開いてヒクつく尻を見せつけながら自慰をするのは、つかさにとって恥ずかしくないことだったのか?」
「ひぁんっ、あぅ……それも、恥ずかしい……」
「恥ずかしいのにやったのか? つかさはいやらしいな」

言葉と一緒に、俺は腰を前後させて繋がったところを執拗に虐めた。
たまに腰を回すようにしてつかさのイイところを擦り上げると、中の締めつけが一層強まり、鼻にかかった甘い声が上がった。

「やッ……アァンっ……! それだめぇっ……その動き、俺、だめぇっ……!!」
「だめ? ……これがだめなのか?」

俺は何度も何度も腰を回して、つかさの中をねちっこく掻き回す。

「ひぁっ、あぁんっ……! だめっ、だめっ……だめぇ……!」
「つかさ。だめ、じゃないだろ?」
「あっ、ぁ、いやぁ……んっ、いやぁ……!」

ふるふると首をふって抵抗するつかさ。
いやだいやだとは口ばかりで、そのとろんと蕩けた瞳には期待のみしか映っていない。
可愛い。固くなって、どろどろに濡れて喜ぶつかさのペニスが可愛い。
加虐心が湧く。
あのつかさをいいように犯している。
もっと追い詰めてやりたい。
つかさにひたすら快楽だけを与え続けて、脳すらも弛緩させて、緩みきったつかさの全身に隈なくキスを降らせたい。

「本当はいやなんかじゃないくせに。ほら、つかさはこうやって尻を掻き回されながらペニスの先をグリグリ責められたらどうなっちゃうんだ? 気持よさで頭が飛んじゃうのか?」
「やめっ……! そんなこと、したらぁ……あぁぁんっ、壊れちゃうっ……」
「どんな風に壊れちゃうんだ? つかさも、俺みたいにスケベなことしか頭に残らなくなっちゃうのか?」
「ひ、んっ……体が、バカになっちゃう、からぁ……」
「俺はそんなつかさも愛してる。だから試してみようか」
「いやっ──!」

てらてらに濡れたつかさの竿を片手に握り込み、もう片方の手のひらにつかさの先端をあてがう。
だらしなく開かれた口から涎を垂らし、うっとりと涙目で俺の手を凝視するつかさ。
期待に塗れた甘美な熱視線。
灼かれてしまいそうだ。

「ん……義樹ぃ……」

愛撫をねだる猫なで声。
あのつかさが、あの傲慢なつかさが、あられもない姿で俺に甘えて媚びている。

尽くしてあげたい。
俺は、はぁ──と深く息を吐くと、一思いにつかさの先端を手のひらでぐりぐりとこね回した。
瞬間、電流が走ったかのように、つかさの全身がビクビクッと激しく跳ねる。

「ひっ、ぁっ、ああぁぁっ──! あぁああぁんっ!!」

腰をくねくねと捻らせて、与えられる快感の責苦から逃れようと藻掻くつかさ。
つかさの大量の先走りで俺の手のひらがとろとろになる。

「あっ、あっ、それいやっ、イッちゃう! はぁっ、あぁんっ……もうイッちゃう、イッちゃうぅ……っ!!」
「本当にこれに弱いんだな、つかさは。気持ちいいならイッていいよ。つかさ可愛い」
「あっ、ぁっ、んぁぅっ、あぁんっ、だめっ……もうほんとに、出ちゃうっ……!!」
「セックス中のつかさは本当に分かりやすいな。気持ちいいと尻がぎゅうっと締まって俺に腰を擦り寄せてくる。あのつかさが、そんな可愛いことを無意識でしているってことがたまらない」
「あっ、ぁ、義樹ぃ……! もうイくぅ……!」

我を忘れて乱れるつかさ。
愛おしさが溢れ出してくる。
こんなにだらしないつかさの姿を見て、幻滅するばかりか一層深まる愛情。
幸福感に支配される。興奮で全身が滾る。心のすべてが満ち足りる。
まるで麻薬のようだった。

「──俺も、イく」

俺は両手をつかさの陰茎から離すと、その両手でつかさの頬を強引に包む。
そして、そのままキスをした。

「んんッ──!!」

瞬間、ふるふるっとつかさの体が細かく痙攣する。
そっと視線を下げてみれば、つかさの下腹部が白濁でべっとりと汚れていた。

つかさが射精したことの証だ。
そそり立つつかさの陰茎の先からつうっと白い糸が引いている。
濃厚な精液だった。

それを見て、俺も仕上げだと弛緩したつかさに腰をぐっと押し付ける。
俺は腹部をべこっとへこませて、同時に勢いよくつかさの中に精液を注ぎ込んだ。

「あぁん……」

鼻にかかった締まりのない小さなつかさの甘え声は、完全に屈服されたメスのものだった。
俺の理性が吹っ飛びそうになる。

「つかさ……好きだ、愛してる」

ぐったりと力の抜けたつかさの体を抱きしめて、胸を占めるこの思いを包み隠さず伝える。

つかさはいつも、このタイミングでしか言ってくれない。
けれど俺にはそれでも十分すぎる。

「……俺も愛してるよ、義樹」

──これからもずっと俺の側にいてくれ。

答えの決まりきった当然すぎる願いを聞く。
あまりの愛しさに、俺は思わずつかさを抱きしめる腕に力を込めた。



 了

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