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●10話なんか手を繋いでるようでしたin滝口君探索的正×帝
2010.03.14


「ほら、行くぞ」

と差し出された手に手のひらを重ねようとして、そこで帝人は踏みとどまった。
いけないいけない、危うかった。またやってしまうところだった―――と心の中で、ほう、っと深く息を吐く。

「帝人?」

しかしそんな帝人には気づかずに、伸べられたまま―――の手の持ち主からの呼びかけに、帝人はちろりと視線をむける。

「…ん?」

そう視線で促されて、うろうろと、自分の手の先と正臣の手のひらとを見比べて、どうしよう、とは思うのだけれど、「…紀田君、」

「ねえ…紀田君やっぱりさ、…やっぱり、この齢になってまで 手をつなぐっていうのは・・・・」
「なーに言ってんだって帝人、こんなん昔っからだろー?いまさら気にするよーなことでもねーじゃねーか」
「いや、でもさ・・・・もう僕たち高校生なんだし…」

…やっぱり、帝人はなんとなく。
なんとなく、の恥ずかしさが先にたって、どうしても握り返せない。
…だから、「…いやいや、」

「そんなん気にするほどのことでもねーって、なっ!?・・・・ほら…行くぞ、」

帝人?―――と帝人の手を掴み取る、その腕の強引さ、は、
…だから、帝人にはありがたい、だなんて思えてしまう。

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