○デ.ュ.ラ・ろぐ6(静×帝) | ナノ
log *NEWに載せた小ネタSSをたらたら***
●でも自覚のない静雄さん(静×帝)2010.03.17
「・・・・あの、」
いったい、なんだってこんなことになっているのだろうか、ともう何度目になるかもわからないことを考えて、益体もない、と帝人は深く息を吐く。
「あ…の、すみません、ホント・・・・」
放して、もらえませんか―――と恐る恐る話しかければ、
「―――ああ”?」
という、不機嫌絶好調な返事が来た。
ぎろり、と視線だけで殺されそうな眼差しに(いや決して帝人からは見えないのだが。…見えないのだが、しかし声の調子だけでありありとわかる)、びくり、と帝人は首を竦める。
「―――ッセーよ。ちったぁ黙ってろ」
「あああああああのッ・・・でも、ですねッ!?」
「あ”あ”ん?」
ウルセェ―――と吐く彼に、
精一杯振り絞った帝人の勇気は、あっさりさっくり霧散した。「…イエ、」
「その、なんでも・・・ありません・・・・」
項垂れて、もうなんだかどうでもいいやと肩を落とすと、
「ふーん・・・・」
ひどく穏やかな声と共に、ぐるり、と腹に廻される、たくましい腕の感触と、
「…そか、」
ぽふり、と背に落ちてくる、ぬくもりを帝人は同時に感じる。(〜〜〜ッ、から、)
(なんだって僕はッ・・・・静雄さんの膝の上に抱きあげられて、なんだって静雄さんにッ・・・・後ろからッ、…なんで、)
なんで、抱きしめられちゃってるの!!?―――という疑問には、どうやら答えてもらえそうにない。