○鰤ろぐ(憐獄送葬・IF浦一ver.(藍一前提での浦一) | ナノ
log *MEMOに載せた小ネタSSをたらたら***
●憐獄送葬設定でのIF浦一ver.(映画第四弾と藍染の顛末が前提の浦一・一護がほんのり黒い感じ:↓)2011.01.02
事の顛末を聞いた男は、ニンマリ一護にわらってみせた。
「・・・・残酷な人ですねェ」
「ああん?」
「いえね? ホーント黒崎さんってば、つくづく…」
残酷な人ですよねぇ、だなんて(いい加減見慣れたけれどもしかし見る度に珍妙な)帽子を目深に被った男は、したり顔で一護に笑う。
別に元々、一護から話して聞かせたって訳じゃない。
(まあ知ってはいたけれど、)自分からそれを訊きたがったくせして、「…どうせなら、」
「いっそのこと、その…コクトーさん? でしたっけ、…のことを、ねぇ一護さん? いっそのこと・・・」
殺してあげれば良かったのに、とムカつく顔で唇を歪める相変わらずにも失礼な男に、いっそ殺してやるのならアンタの方が先だろうよ、と思った一護の目付きが覚えず鋭く尖ったのに目敏く気づいて面白そうに漏らした男に、コイツ本当に殺してやろうかと一護は眉間に皺を寄せた。
「おー怖い怖い。イヤですねェ黒崎さんってば、ちょーっとホントの事を言われたくらいで」
「黙れこのボンクラゲタ帽子が。テメェなんかにんなこと言われる覚えなんざねえんだよ」
今回の件だけでなく男が『何』の事を言っているのかすぎるほどには明白で、だがそれをこの男の口にされるのは一護には不快でしかない。
それは例え今現在一護がこの男と共に在ろうとも同じことで、それを理解した上でわざわざ口にする男の神経に一護は殺意にも似た苛立ちを覚え、それを見越してまた哄ってみせた男を、ふたたび殺してやりたい、と一護は思った。「…ホーント、」
「酷い…ヒトですよねぇ、」
黒崎さんってば、と然も愉しげに一護に吐き捨てた男とこうして会うのはならばもう止めてやろうか、と一護は思う。
この男に責められる覚えなど一護にはない。こうしてこの男に口を出される覚えもまた、一護にはありはしない。
(…だって、)
あの――永劫にも等しい監獄の中にたった独り今もいる、あたかも水晶で出来た刃のように、純粋に、透明に、愚かなほどに一護に惑い、一護に迷い、一護だけを追い求めた、男の求めるものとは違いはしたが、確かに一護もまた求めた――男との記憶は、一護だけの物だからだ。
「・・・・ホーント、」
ヒドイ人、と晒う男にお前もだろうがと一護は思った。
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