「おさななじみ」極印付き(臨帝前提静帝) | ナノ
*小ネタSS***
●極印付き(臨×帝前提での静×帝)2012.10.08
ぎりり、と万力のような力で、取られた手首が締め付けられる。
「……ッ、…タッ、しずおッ……くん……ッ!」
少年が自分と接するときは、――それはもう、必死なのがあからさまに見れ取れるほどに――不器用にも少年は気遣ってくれていたものだけれど、(……まあそれは、正直あまり成功しているとは言いがたかったのだったが)
(ああ……でも、さすがに……)
これは……ダメだったのだろうな、と帝人は、どこか、冷めた目で思う。
……だから、
「静雄くん、離して」
「……ッ、……帝人ッ!」
「静雄くん……いいから、―――離して」
そう激昂する少年を視線で制して、帝人は少年に命令する。
帝人が決して少年は見せなかった、この少年には決して使おうとはしなかった――使おうとも思わなかった――帝人の、もうひとつの顔で。
「帝ッ……人……ッ!?」
案の定、少年はそれに、ひどく驚いた顔をして―――無論、腕力で帝人が(というか、おそらくこの世に生けるほとんどの人間が)それで敵おうはずもないし、元々帝人は肉体派ではない。
から、そんなもので張り合おうなどとは、帝人は毛ほども思わない。
……けれども、「……静雄くん、」
「僕が、折原くんと……」
帝人が少年には決して見せようとはしなかった、少年の前ではしまいこんで、ない振りをしてみせていた―――顔が帝人には確かにあって、どちらかといえば、帝人の本質はそれかもしれない、と帝人は、薄々思っている。―――それを、
見せた途端に驚いた少年に、驚いた自分に帝人はひどく驚いて――自分でも、驚くほどに傷ついて――帝人は、わざわざ言い直してみせた。「……臨也くんと、」
「僕が、臨也くんと……寝たことがあるのは本当だよ? ……尤も、」
君と……再会する前のことだけどね? と帝人は少年に哂う。
―――傷つけばいい、という気分だった。「……でも、」
『それを……君に責められる謂れは、僕にはないよ?』
驚くほどに―――残酷な気分に、その時帝人は為れていた。
*臨×帝過去の事実が静雄さんにバレました。