log *MEMOに載せた小ネタSSをたらたら***
●汎用人型決戦兵器YUKI-MURA2012.10.08(初出:2011.11.27)
「「あ、」」
たぶんお互いに、嫌なやつを見た、という顔をした。
しかしそれでも一応のところは覆い隠して見せようとするのが佐 助で、それをそのまま顔に出すのが政 宗だった。
「「……………、」」
二人は黙って同じ机の、しかし対角線上にある端と端の、互いから最も離れた席に着いた。
できることならこんな男の顔など見たくはない、と互いに思ってはいたけれど、それでもそこに座ったのは、この後ここに現れる、互いの共通項たる相手の、ただそれだけのためである。
「…………チッ、」
「……何よ、独 眼 竜」
「ああん? …ったく、何だって俺がこんな猿のツラなんかおがんでなきゃなんねえんだか…」
ケッ、と悪態を吐く男に、それはこちらも同じことだ、と佐 助は思った。
「それはこっちのセリフだってーの。…ったく、何だって旦那もこんなのと…」
「ああん!? んだと猿、上等だ……やるってーのか!?」
やっすい挑発に乗っていきり立つ相手に、佐 助はこれみよがしに肩を竦める。
……けれども、
「んなわけないでしょ。ここどこだと思ってんのよ……ったく、ちょっとは落ち着きなよね。あんたの相手をしてやんのもやぶさかじゃないんだけどさ、俺様たちが騒いで後で誰に迷惑がかかるのか、ちょっとはその軽い頭で考えたら?」
「Ha! いいぜ猿、上等だ……表へ出ろよ」
ああん、と政 宗が顎を杓った―――そのタイミングで、「政 宗殿? 佐 助?」という声がかかるのはいつものことで、
「幸 村!」「旦那!」
互いにたった一人だけにしか見せない顔を、その相手に向けるのも―――もはや、恒例行事といっていい。
……そうして、((…ったく、))
((ああ……ホンッとーに、忌々しい……!))
相手に対して互いに同じ心境なのは、たぶん、互いに知っている。
*昔の話。