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●春のだてさな
2010.04.16


「申し訳ござらん」

ゴクリ、と酒を飲み込んでから、目の前でしゅん、と耳としっぽが垂れた犬のように項垂れている幸 村に、政 宗は目をやった。

「ああ゛ん?」
「…ッ、申し訳、ございませぬ・・・・ッ、」

どうやら政 宗に叱責されたと思ったらしい幸 村は、ビクリ、と身体を跳ねさせた後、ふたたび政 宗に頭を下げる。
しかし無論、政 宗には謝罪されるような心当たりはない。
むしろ非があるとすれば、花見に託つけて知らせもなく突然訪れたこちらの方だが、それも

  『…悪ィな、幸 村・・・・アンタの顔が見たくて、待ちきれなかった』

と言う政 宗に、幸 村は
  
  『まっ…政 宗殿!!』

と真っ赤になりながらも快く迎え入れてくれたはずだった。…まああの小うるさいサルだけは
 
  『ちょっ…旦那!竜のダンナの甘言なんかに騙されないでよ!?』

などと、ちったあ騒ぎもしたのだが。



「ちょ、ちょっと待てって幸 村・・・・アンタいったい、何に対して謝ってんだ?」

そのまま深々と頭を下げようとする幸 村を寸前で止め、兎にも角にも訳を話せと訊いてみれば、曰く

  『せっかく政 宗殿に信州の桜を見に来ていただいたと言うのに・・・・これでは花見にならぬ』

だ、そうだ。
なんだか一気に気が抜けた…というか、一気にどっと疲れたような気になった政 宗が、しかしそれでも気にするな、と伝えてやれば、「…しかし、」

「このように障子もしめ切って、屋敷の中ばかりというのも・・・・」
「気にすんな。だいたい奥 州の冬はこんなもんじゃねえしな。…俺は十分にもてなしてもらってるぜ?」
「ですが、政 宗殿・・・・」

まだ幸 村は浮かない顔で、はてさてこれはどうしたものか、と政 宗は、杯をゴクリと傾けながら考えた。

「・・・・ah,」

まあ確かに、この信 州の…幸 村の故郷の花を、幸 村と、という目的が叶わなかったのは残念だったが、それはまたいずれ機会もあるのだろうし、後の楽しみにするのもいい。
第一に、政 宗のいちばんの目的は、今政 宗の目の前にいる、この男自身だ―――ってことを、果たしてここは身体に教えてやるべきか否か、と。

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